バンタンデザイン研究所 映像学部の新学部長に、柿本ケンサク氏が就任!初となるメンバー向け学部方針説明会で「クリエイティブは、HOWの前にWHY?を考えて」【バンタンデザイン研究所】
「はじめまして。柿本ケンサクと申します。このたび学部長という大役を任されました。何をするかというと、デザイン・映像学部を、一歩外に出していき、企業や地域へ広げていくような活動をしていきたいと思います」と、ご挨拶。
バンタンデザイン研究所OGであり、映像作家としてご活躍される柿本ケンサク氏が、映像学部の学部長に就任しました!
6月7日に行われた、在校生(以下メンバーと表記)向けの学部方針説明会をレポート!
柿本氏は、大河ドラマ「青天を衝け」のタイトルバックを手掛け、監督映画「恋する寄生虫」が公開されるなど、注目のクリエイターです。現役プロフェッショナルがカリキュラムを監修するのも、バンタンデザイン研究所の強み。
<1. HOWの前に、WHYを>
柿本氏(以下同)「クリエイティブの世界へようこそ。
とはいえ、何をもってクリエイティブというかは曖昧です。なので、みなさんといっしょに考えたい思っています。
そもそも、なぜ、映像やイラストを作るのでしょうか?なぜ、それを作らなければいけないのか。なぜそれが必要か。誰に、何を届けたいのか?その結果、その人にどうなってほしいのか?
映画でいうところの、セントラルクエスチョンとは何でしょうか?それはストーリーの中心にあるものをとらえてから、ものづくりをしていきます。これがないと、製作している途中で迷子になってしまうからです。
アートは主観
デザインは客観だと思っています。
アートは、自分の中に内在するものを作品として投げかけていきます。そこから、どう価値観変容が起こるのか。対して、デザインは客観だと思います。あなたが作るものが、どのようにエフェクトを起こすのか、客観視しながら起こしていきます。言い換えれば、
アートはコンセプト
デザインは共感です。
好きなものを、どう共感を得られるようにしていくか?それを在学中に、学んでほしいと思っています」。
<2. クリエイティブって何でしょう?>
「正直、クリエイティブは、なくても生きていけるのでは?
震災など有事のときに必要ないのでは?と思われているかもしれません。
では、なぜお金をかけないといけないのか。クリエイティブは目には見えません。いわば、クリエイティブは魔法みたいなもの。クリエイティブはラブレターのようなものです。
クリエイティブとは、言葉に言い表せない表現欲求、思考、創作活動のことを呼びます」。
そこで、これまで柿本学部長が手掛けてきたWORKSを紹介。
<WORKS 1>映像ディレクターだけでなく、グラフィックやプロモーション設計など全般を担当した、大河ドラマ「青天を衝け」のタイトルバック。
<CREATIVE>「僕への課題は、このドラマがどういうものなのか、すべて明かしてはいけないけれど、説明することでした。また、1年を通して視聴されるので飽きられない仕掛けが必要でした。そのため大河ドラマにミュージカルや最先端技術、アートを掛け合わせた企画を提案しました」
<WORKS 2>「UNDER ARMOUR」
<CREATIVE>「日本での認知度アップと、女性でも手にしやすいブランドイメージを醸成することが課題でした。そこで、国民的女優を起用し、銭湯の中でアクティブに踊りまくる、誰も見たことのない”長澤まさみ”を見せることで、親しみを持ってもらい女性でも手にとりやすいブランドであることを伝えました」
他に、新機能と、CGクオリティの訴求などを求められた「eFootball PES2020」では、圧倒的なメジャー感を演出。ブランドムービーを約20に分割し、チャプターごとに新機能や新しい選手を見せるCREATIVEに。また、Jリーグ開幕30周年を記念し、RADWIMPSがJリーグの新たな“アンセム”を制作。ここでは、若年層へのアプローチを行うため、サッカー×アート、サッカー×ファッションをCREATIVEに据え、「大団円feat. ZORN」のパフォーマンスを紹介しました。(作品は、@kensakukakimotoでもご覧ください)
<3. クリエイティブとは=社会や企業の問題・課題を解決する方法>
「目には見えないけれど、クリエイティブは社会や企業の問題、課題を解決することができます。そして、誰かを幸せにするためのアイデアです。
もっと、シンプルに言うと……役に立ちます。
ひとつのアイデアで、自然災害で被害を受けた街に観光客を増やすこともできるし、売れない果物を消費者に届けることもできます。そのためには課題を解決するためのアイデアを発想する方法を勉強してください。これを『クリエイティブシンキング』と呼びます。まずは、徹底的に課題に向き合いましょう。そして自由な発想でワクワクするようなことを考えましょう!また、常識を疑いましょう。進化とは、『常識』を誰かが破っていった結果なのです」
<4. アイデアとは、新しい要素の組み合わせによって生まれるもの>
ここで、メンバーに頭のエクササイズが出題されました。
<問題>「ここに、縦90cm、横90cmの窓があります。
ここに、縦90cm、横90cmの窓を新たに作ります。光がたくさん入るようになりました。
さて、あなたはどんな窓を作ったのでしょうか?」
在校生からも、さまざまな意見があがりました。
「いつくかある内のひとつですが、簡単な正解を言いますね。最初にあった窓が丸い窓だとすると、四角い窓を作れば四隅の分、広く光が入ります。みなさんが生きているなかで、窓=四角のように、無意識で考えてしまっています。これは、クリエイティブな作業のときには、良くありません。こうした意外性を、どうやって発見していくのか?新しいアングルを持つために、目に見えないものを見ましょう。聞こえない音を聞きましょう。アイデアとは、新しい要素の組み合わせによって生まれるものです」
<5. メンバーの企画を応援!学部長賞・100万円でクリエイティブを推進>
「まずは、『好きを真似する。好きを学ぶ。好きを盗む』ことから始めましょう。好きな作品やアーティストの発想を真似し、学び、盗みましょう。その次に、プロセスとマテリアルを学びます。模倣にならないために、オリジナリティな要素を足します。是非、みなさんのクリエイティブを目に見える形にして届けていってください。
みなさんの背中を押すべく、今年度、『学部長賞』をつくりました。課題を解決するアイデア・企画の設計図を書いて、僕にプレゼンをしてください。1作品につき、上限100万円を出し、制作を支援します。受賞作品が複数ある場合は、1作品につき10万円となる場合もあります。
僕はバンタンデザイン研究所に在学中はあまり良い生徒ではありませんでした。ですが、在学中にある映画プロデューサーさんに『柿本くん、100万円あげるから映画を作らない?』と言われたことがあり、今があります。なので、チャンスを掴みそうなメンバーの背中を押すスクールでありたいと思っています」と締めくくりました。
会場にいたメンバーの表情からも、創作意欲のスイッチが入ったことが伝わってきました。是非、制作資金を糧に、「課題を解決するクリエイティブ」を追求していってください!