アートディレクターという仕事がどのようなものかご存じでしょうか。
アートディレクターは広告やWebチラシ、ゲームなどのデザインを考え、人の心を刺激する作品を作ることが役割です。
先進的なデザインだけではなく、クライアントの要望に叶ったデザインを創り上げるため、チームをまとめるマネジメントも仕事になります。
今回は、アートディレクターとはどのような仕事なのか、目指すにはどのようなステップがあるのかを紹介します。
アートディレクターとはどんな職業?
アートディレクターは、広告やゲーム、パッケージなどをデザインし、制作物が完成するまでの工程を管理する司令塔です。
単にデザインの良し悪しだけでなく、クライアントの要望からどのような意味や目的があり、
世の中にどんなイメージを与えたいのかまで計算して作る仕事でもあります。
ひとつのデザインを作り上げるためには、さまざまな職種のメンバーがチームで連携する必要があり、
アートディレクターはそれをまとめる現場の責任者と言えます。
アートディレクターがどのような仕事をしているのか、次の項から解説するので見ていきましょう。
アートディレクターの主な仕事内容とは?他の職種とも比較
アートディレクターはクライアントからの要望を聞き出し、デザインを具現化するのが仕事です。
ディレクターという役割であることから、ビジュアルの方向性を示す司令塔となり、チームに指示する役割があります。
つまり、アートディレクターはクライアントが最も望む形を聞き出し、
ラフ案を作成、チームを指揮して目的物を完成させるのが主な仕事になります。
そのため、アートディレクターは常にチームメンバーの進捗状況を確認し、クライアントの要望に沿っているか、
方向性がずれていないかを適宜確認することが必要です。
また、クライアントにはそれぞれ予算もあるため、予算内で最善の作品を生み出さなければなりません。
予算管理もアートディレクターの仕事になるので、適切な配分を行うことが重要です。
クリエイティブディレクターとの違い
アートディレクターと混同されやすいのが、クリエイティブディレクターという仕事です。
同じディレクターとは付きますが、役割の範囲には違いがあります。
アートディレクターは制作物のデザイン全般を指揮しますが、クリエイティブディレクターはもっと範囲が広くなります。
クリエイティブディレクターはキャッチフレーズを考えるコピーライティング、デザインを含めたクリエイティブ全般を指揮することが仕事です。
アートディレクターよりも上位の存在にあたるのが、クリエイティブディレクターと考えてもよいでしょう。
クリエイティブディレクターについて:https://www.vantan.com/occupation/detail/27.php
デザイナーとの違い
デザイナーはディレクターの指示を受けて、クライアントの要望通りのデザインをするのが役割です。
実際にデザインする仕事なので、PhotoshopやIllustratorなどを使用して仕事を進めます。
ディレクターとも逐一相談しながら作業を進め、クライアントの望んだ方向性へと向かっていきます。
デザインを生み出していくためには、表現技法や発想力を高めることも大事な仕事です。
アートディレクターのプロジェクト進行の流れ
アートディレクターがどのようにプロジェクトを進めていくのか、仕事進行の流れを見ていきましょう。
流れ①クライアントへのヒアリング
クライアントにはそれぞれデザインで解決したい課題、ブランドイメージの向上、デザインの目的などの目的があります。
クライアントのニーズを把握するため、細かいポイントまでヒアリングを行います。
ヒアリングで得た情報を基に、どのようなデザインを制作するのかが決まってくるため、基礎となる大事な工程です。
流れ②計画・認識の共有
ヒアリングで得た情報を基にリサーチやマーケティングを行い、クライアントのどのような課題を解決するのか、デザインの計画を練っていきます。クリエイティブディレクターとも相談しながら、計画と方向性を決定します。
計画が出来上がったらクライアントや自社内でプレゼンを行い、合意を得れば作業開始です。
合意が得られればデザインを制作するチーム内で計画や認識を共有し、実際の作業に入っていきます。
流れ③制作物の進捗管理
製作段階ではアートディレクターが陣頭指揮を取り、デザインを逐一チェックして必要なら修正指示を出します。
プロジェクトでは多くのメンバーが関わるため、工程ごとに認識を再確認することも大事です。
アートディレクターはチームメンバーとコミュニケーションを取り、計画通りに進行できるよう最大限努めましょう。
業界ごとに異なるアートディレクターの役割
アートディレクターはデザイン全般を指揮する役割を持っていますが、業界によって仕事内容は異なります。
どのような役割があるのか見てみましょう。
広告業界
広告業界でのアートディレクターは、Web広告やチラシ、情報商材のようなものまで、媒体によって適したデザインを打ち出します。
広告業界のアートディレクターは、デザインへの造詣はもちろんですが、各媒体が持つ特性を理解し、それを生かした戦略性も求められます。
ゲーム業界
ゲームのビジュアルや世界観がパッケージやグッズ、ポスター、書籍などに反映されるようデザインを管理することも、
ゲーム業界においてのアートディレクターの仕事です。
食品業界(パッケージ制作)
食品業界でのアートディレクターは、商品の顔であるパッケージの制作で活躍します。
商品の魅力を最大限に打ち出し、消費者の目を惹くデザインに仕上げていく仕事を担います。
上記以外にも、インテリア業界、医療業界、スポーツ業界など様々な業界に関われるのが、アートディレクターの魅力の一つです。
アートディレクターの働き方・激務度はどう?
アートディレクターはクリエイティブな仕事であることから、クライアントの抱える課題をデザインで解決することが主な役割です。
クライアントにはデザインの詳しい知識を持たない方も多く、無茶な要望や短すぎる納期を指定してくることもあります。
また、せっかく出来上がったデザインを急に方針転換するケースもあり、アートディレクターは対応を迫られるケースもあります。
土日や、早朝から深夜までの勤務になることも多くありますが、適宜スケジュールを調整して休暇を取られる方もいます。
アートディレクターの年収とキャリアパス
アートディレクターはデザイン全般を仕事にしていますが、そのままキャリアアップするならクリエイティブディレクターになる選択肢があります。また、ディレクターとしての経験を生かした役員就任、または独立開業というキャリアも視野に入ります。
アートディレクターの年収は平均500万円前後、大手に勤めると1,000万円を超えることもあると言われています。
クリエイティブディレクターや役員になれば、より多くの年収が期待できるでしょう。
アートディレクターの将来性は?
アートディレクターの仕事は、広告やWebサイト、パッケージなどのデザインで企業の課題を解決することです。
では、デザインはどのような媒体で掲載されるのかですが、最近は若年層を中心にテレビや各種メディアを視聴する機会が減少しています。
一方でスマホの普及によりインターネットとSNSが普及しており、媒体を意識したデザインが必須です。
デザインは人の購買意欲を刺激し、強い感情を引き起こすものです。人がいる限りデザインの需要がなくなることはなく、アートディレクターの需要も高いままでしょう。アートディレクターはどのような媒体に強みを持つかにもよりますが、将来性のある職業と言えます。
未経験からアートディレクターになるには?実現までのステップ
未経験からアートディレクターになるまでのステップを見ていきましょう。
ステップ①デザインの経験を積む
アートディレクターになるには、まずグラフィックデザインの知識と技術、経験が必須です。
ルートは色々ありますが、グラフィックデザイナーやWebデザイナーとして働き、実務経験を積むことが大事です。
ステップ②できる業務を増やす
デザインの経験をある程度積んだら、できる業務を増やしていきましょう。デザイナーのうちから、企画案を考える・企画書を書く経験を積むことも重要です。先輩アートディレクターやクリエイティブディレクターがいるなら、クライアントへのヒアリングに同席させてもらうのもおすすめです。
クライアントとの打ち合わせにも参加し、プロジェクトでリーダーを経験することで、全体の工程を理解できてキャリアのプラスになります。
ステップ③アートディレクターになる
リーダー経験を十分に積んだら、次はアートディレクターとしてのマネジメントです。
アートディレクターはメンバーとのコミュニケーションも大事な仕事ですから、マネジメントの経験はどの場面でも必要です。
アートディレクターになるためには、美術大学や専門学校の卒業が必要になると考える方も多いです。
しかし、実際には実務経験と自分の努力が必要ですから、必ずしも通学が条件にはなりません。
アートディレクターに求められるスキル・適性とは?
アートディレクターに求められるスキルと適正について見てみましょう。
デザインの知識
アートディレクターには当然ながら、基本的なデザインの知識は必須です。知識がなければマネジメントもメンバーへの指示もできず、計画立案もできないからです。PhotoshopやIllustrator操作のスキルもなければ、スケジュール管理も難しいでしょう。
コミュニケーション能力
アートディレクターはデザインの実務部分を管理する役割ですから、色々なチームメンバーとも関わらなければなりません。
現場を仕切るという意味でも、高いコミュニケーション能力が求められます。
リーダーシップ
アートディレクターはプロジェクトを円滑に進行させなければならず、そのためにはクライアントとの良好な関係、そしてチームを引っ張るリーダーシップが不可欠です。リーダーシップのあるアートディレクターであれば、チームメンバーも信頼してついてきてくれるでしょう。
アートディレクターに必要な資格やあると良い資格とは?
アートディレクターに必要な資格はありません。しかし、デザイン業界に関連する資格として、以下のようなものもありますので紹介します。
Photoshopクリエイター能力認定試験
デザインで必須とも言えるPhotoshopの操作能力を認定する試験です。
スタンダードとエキスパートの2つの難易度があります。
Illustratorクリエイター能力認定試験
こちらもデザインで必須となるソフトであるIllustratorの操作能力に関する認定試験です。同様にスタンダードとエキスパートがあります。
ただし、先述の通り、アートディレクターは資格不要の職業であり、実務に生かせるスキルや現場での経験がより重要です。
資格取得はあくまでプラスアルファのスキルアップや自身の実力を図る目的で検討すると良いでしょう。
アートディレクターになる難易度は高い?
アートディレクターになるには、デザインの実務経験が一定の年数必要であるため、未経験からいきなりその職業に就くのは難しいでしょう。
デザインの経験だけでなく、マネジメント、リーダー役も務めなければないことから難易度は高いと言えるでしょう。
しかし、努力次第で未経験からでも目指せる仕事ですから、挑戦してみる価値は十分にあります。
アートディレクターの夢を実現するためのポイント
アートディレクターという夢を実現するためのポイントを確認します。
意欲
アートディレクターになるには、自分の中にある発想をアウトプットする必要があります。
斬新な発想を生み出すには常に新しいことを学び、デザインに繋げていこうとする意欲が大事です。
時代は常に新しいものを求めており、デザインも時代に沿うもの、先取りしたものが求められます。
最新のトレンドや新しいテクノロジー、表現方法への知見を持ち、スキルを磨いていく姿勢が大事になるでしょう。
業界への理解度
デザインの業界は広告やゲームなど裾野が広く、アートディレクターになるには業界の長い経験と深い理解がなくてはなりません。
顧客の心に響くデザインを生み出すには、どのような作品を届けるのか、どのような施策が必要なのかを追及すべきです。
そのため、デザインだけでなくマーケティング的な考え方も持ち、クライアントの要望に適した答えを模索しつづける姿勢が求められます。
アートディレクターを目指すなら専門学校で学ぶのがおすすめ
アートディレクターを目指すなら、デザインの仕事を一連で理解することができる専門学校で学ぶのがおすすめです。
専門学校では、プロから実践的なテクニックを教わったり、有名講師を招いての講義も受けられる点が魅力です。
また、インターンとして企業で実務経験を積んだり、就職先に合わせたポートフォリオが作成できることも、
専門学校ならではの利点と言えるでしょう。
実際に現場で学ぶ経験と産学協同プログラムに参画し、現場の雰囲気を肌で感じることができる場合もあります。
アートディレクターはマネジメントとマーケティング能力が求められる
アートディレクターはデザインの実務全般を管理し、顧客の要望に応じてデザインを設計するのが仕事です。
デザインの実務を長年経験し、マネジメント能力とマーケティングの視点のある人材を求められます。
独学や未経験からでも目指すことはできますが、より効率的に必要なスキルを学ぶなら専門学校に通うのがおすすめです。
アートディレクターを目指すなら、以下のコースをぜひご覧ください。
デザイン&イラスト実践【4年制】https://www.vantan.com/faculty/design/de-26/index.php
デザイン&イラスト総合【3年制】https://www.vantan.com/faculty/design/de-25/index.php
デザイン&イラスト専攻【WS2年制】https://www.vantan.com/faculty/design/de-20/index.php
デザイン&イラスト専攻【WS2年制】https://www.vantan.com/faculty/design/de-08/index.php