映画ライターとはどのような仕事なのでしょうか。当記事では、映画ライターの業務内容についての具体例や映画ライターに求められる能力・スキル、映画ライターになる方法を紹介します。また、映画ライターのキャリア・年収のほか、大変なところややりがい、面白さについて解説します。
映画ライターとは?
映画ライターとは、映画に関しての記事を書く職業のことです。映画ライターとして、担当する映画の感想や批評を記事にします。
映画ライターはフリーランスの場合が多く、出版社や映画制作会社と深く密接している人もいます。特に必要な資格や検定はなく、映画ライターになろうと思って、そう名乗ればなれる仕事とも言えます。一方で、フリーランスとして働き始めても、収入が安定しないことが多く、不安定な職業でもあります。
雑誌、書籍、web上など、活躍の場はさまざまですが、映画に精通していなくてはできない仕事です。また、出版社や編集プロダクションはもちろん、映画制作会社や配給会社、PR会社、広告代理店などとのやりとりが発生するため、コミュニケーションスキルも必要です。
しかし、映画ライターにとっていちばん大事なのは、やはり、文章を読むこと、書くことが好きだということです。加えて、文章作成能力が優れていて、論理的で誠実な文章が書けることが重要です。自分で書いた文章がクライアントから高い評価を得て、多くの人に認めてもらうことが、この職業のやりがいとも言えます。
映画ライターの仕事内容について
映画ライターの仕事の詳しい内容について解説していきます。
最新映画を見て映画レビューを書く
映画ライターの仕事の中でもっとも多いのが「最新映画を見て映画レビューを書く」という仕事です。お客様に映画館へ足を運んでもらうためには、たくさんの映画の中から「これが見たい!」「この映画が気になる!」と思ってもらうことが重要です。
最新映画は、映画館での公開前に業界関係者向けの試写会を行っており、映画配給会社や宣伝会社に登録することで招待状を受け取ります。
最新映画のレビューを書く場合、映画レビューを掲載する媒体の編集部と相談の上、鑑賞する映画を決定します。
編集部から試写会への参加やレビュー記事の執筆を依頼される場合が多いものの、映画ライターから「媒体に合う作品です」と言ってレビュー記事の執筆を提案することもあります。
監督や出演者のインタビュー記事を書く
出演者や監督へのインタビュー記事の執筆も、映画ライターの仕事のひとつです。
まず、映画の宣伝やPRのために出演者や監督が稼働するかどうかを、映画配給会社や宣伝会社の担当者に確認します。稼働することがわかったら、執筆する媒体の編集部と相談し、映画配給会社や宣伝会社の担当者に取材希望のための書類(媒体資料や企画趣旨書)を提出します。
インタビューが決まったら、質問案を考えます。事前に試写を見て、聞きたい内容や引き出したい項目を準備してから、取材当日にインタビューを行います。インタビューは準備した質問に答えてもらう形で進みますが、予定通りに聞くだけでは面白い記事にはなりません。会話を重ねることで、出演者や監督の作品への想いが聞き出せるため、相手の伝えたいことを深く理解できるよう、上手にコミュニケーションをとる能力が必要になります。
過去の作品の紹介記事を書く
媒体の映画紹介コーナーには、最新映画だけではなく、過去の作品を紹介する記事もあります。その場合は、映画配給会社や宣伝会社での試写会は行われないため、DVDやインターネット(オンデマンド)配信で映画を視聴します。また、公開時と配給会社や宣伝会社が変わっている場合は、DVD発売メーカーなどに掲載承諾をもらう必要があります。特に、「クリスマスに見たい名作10選」など複数の作品を紹介する場合は、作品ごとに掲載確認が必要になるため、執筆の準備にも時間がかかります。映画の選定や記事の内容に関しては、最新映画の紹介同様に、媒体に合うテーマかどうかを編集部に確認してから執筆します。
イベント・記者会見取材
イベントや記者会見、海外スター来日時の空港取材などを担当することもあります。完成披露会見や製作発表会見など出演者や監督が登壇するようなイベントに参加し、内容を分かりやすくまとめて記事にします。
映画ライターに求められる能力・スキル
映画に精通している
映画ライターは、映画をおすすめして一人でも多くの人に見てもらうための仕事ですので、映画に精通していることが重要です。映画全般に詳しい人もいれば、時代劇に詳しい、ハリウッド映画に詳しい、ラブストーリーに詳しいなど、特定ジャンルの知識が深い人でも問題ありません。「映画が好き」「映画を伝えたい・広めたい」という情熱、そして、映画を作る人への理解と尊敬があれば、「この人が紹介する映画を見てみたい」と言われるような記事を執筆することができるでしょう。
コミュニケーションスキル
映画ライターとして活動するには、媒体の編集部、配給会社や宣伝会社の担当者へ自らを売り込む必要があります。自分で営業ができるコミュニケーションスキルは、映画ライターに求められる能力のひとつに挙げられるでしょう。また、最新映画のレビューや過去の作品紹介は、掲載する媒体の方針や方向性、スケジュールなどに従って執筆する必要があるため、編集部メンバーとのやりとりが必要不可欠です。加えて、配給会社や宣伝会社の担当者との交渉やコミュニケーションも大切です。担当者が作品をどんな視点で紹介してほしいのかを理解したうえで、担当者だけが知っている興味深いエピソードなどを聞き出すテクニックを身につけていきましょう。出演者や監督へのインタビューやイベント・記者会見での取材など、誰かから話を聞くシーンが多いため、相手の意図を汲み取る能力が重要です。
ライティングスキル
映画ライターになるためにはライティング能力も重要です。ライティング能力は、必ずしもどこかに所属してスキルを身につけなければならない訳ではありません。ライタースクールや講座などで勉強をしたうえで編集部に入る人もいます。最近では、副業で映画レビューを執筆したり、ブログなどで映画レビューを発信していた人が映画ライターになることもあります。「文章を書くことが好き」「映画が好き」という気持ちがあれば、「この映画、面白そう!」という記事が書けるでしょう。
企画力
最新映画のレビュー、過去の作品紹介や取材記事など、どんな映画レビュー記事を書く場合でも、企画力は欠かせません。得に、1つの記事で複数の映画を提案する場合は、求められている映画をチョイスするセンスが必要です。また、読者を納得させる記事を執筆するには、その映画が作られた背景を理解したり、どのような角度から映画を紹介するとより多くの人に刺さるかなど、マーケティングの視点も大切になります。さらに、映画ライターとして注目を集めた場合、媒体で自分の連載を持ったり、映画関連のイベントで司会をしたり、ゲストとして呼ばれることもあるため、映画を広く知らせる発信力と企画力があると仕事の幅も広がります。
映画ライターになる方法
出版社や編集プロダクションで編集者として一定の経験やスキルを身につけた人が、独立や起業などをしてライターになるというパターンが一般的です。映画ライターの場合も、映画関連媒体や雑誌の編集者として経験を積んだのちに、「映画ライター」と名乗って執筆を始める人が多いでしょう。
また、紙媒体だけではなく、映画関連のWEBメディアでの編集業務を経て、映画ライターとして活動する人もいます。
映画ライターのキャリア・年収について
映画ライターはフリーランスの人が多く、配給会社や宣伝会社とのつながりが密である場合がほとんどです。映画ライターになりたい人は多く、競争相手が多い業界です。報酬も媒体ごとに違い、金額が決まっていないため、収入が不安定な職業とも言えます。
新人映画ライター(~5年):年収イメージ100万~200万円程度
映画ライターとしては、人脈作りの一番重要な時期です。興味がある映画に限らず業務に取り組めば、人脈が広がり、次の依頼につながる可能性もあります。
映画ライター(~10年):年収イメージ200万~300万円程度
映画ライターとしての実績がつき、媒体や配給会社、宣伝会社から依頼がくるようになることもあります。好きな映画や興味のある映画についての記事を書くチャンスもあるでしょう。
映画ライター(11年以降):年収イメージ300万円以上
映画ライターの中ではベテランと呼ばれています。人気映画の記事や有名出演者のインタビューなども任されます。また、自分が書いた記事が興行成績に影響を与えることもあるかもしれません。
配給会社や宣伝会社からも声がかかるので、試写状が自動的に届いたり、収入も安定してきます。
映画ライターのやりがい・面白さ
自分が執筆した記事によって「この作品面白そう」「この映画見てみたい」と誰かの行動を促したり、映画との出会いのきっかけになることにやりがいを感じます。
また、媒体の編集担当や配給会社や宣伝会社の担当者から評価されることや、指名で仕事がくるようになることは、映画ライター冥利に尽きると言えます。
なにより、映画が大好きなライターにとってもっとも面白さを感じるのは、好きな映画の情報にいち早く触れることができること、好きな俳優や監督、海外スターに会えることです。
年間で約1000本近くの作品が公開されるため、いつも新鮮な気持ちで仕事に向き合うことができます。
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