「Asia Fashion Collection 12th TOKYO STAGE」国内最終審査会・合同展示会を開催!2025年2月開催・「ニューヨーク・ファッション・ウィーク」でランウェイデビューを果たす、日本代表3ブランドは?
今年で12回目となる「Asia Fashion Collection(アジアファッションコレクション、以下AFC)」開催!
これまでに「DAIRIKU」「aNANA tih sayim」「DOKKA vivid」など、
人気ブランドを輩出してきた、若手デザイナーの登竜門。
パルコとバンタンが主催する「AFC 12th」国内最終審査は業界関係者のみの招待制として展示会を開催。
ブランドビジネス拡大支援を強化します。
1 10月25日、26日に、招待制で合同展示会を実施!
会場は、THE FACE DAIKANYAMA。
2024年10月25日実施の展示会には、ファッション業界を牽引する
バイヤー、メディア、商社など100名のゲストにご来場をいただきました。
今回は、10月26日に実施された「AFC12th TOKYO STAGE」国内最終審査会をレポート!
2 審査員は、業界を牽引するプロフェッショナル
審査員は、ファッション業界を牽引するプロフェッショナル10名。
5名、2グループにわかれ、デザイナーからブランドのプレゼンテーションを直接受けます。審査基準は、
1 クリエイティブ…ブランドとしてのオリジナリティ、デザイン性、完成度
2 ビジネス…市場性、時代性が考慮されているか
3 コミュニケーション…ブランド発信力・デビューに向けてアクティブに活動できるか
3 プレゼンをダイジェストレポート!「AICHAN BY AI TOYODA」(豊田 愛/大阪文化服装学院/@aichan___official)
豊田さん
「『AICHAN』のブランドコンセプトは、目立ちたがり屋な女の子たちのBEST FRIENDです。
『YOUR ASSISTANT』というコレクションで、
映画『プラダを着た悪魔の世界』に憧れてファッション雑誌編集者のアシスタントになった田舎娘の出勤スタイルを提案しています。
不織布の衣装カバーをお洋服にしたり、実家のおばあちゃんの気遣いやもったいない精神をデザインに反映しています!
新人は誰かも褒めてもらえないかもしれませんが、大阪のスピリットとカラフルなアイテムで応援できたらと思います」
WWD編集長・村上氏は
「デザイナーさんのスタイルを真似るのは相当勇気がいります。
ブランドの世界観を少し楽しみたい人向けのアイテムがあるといいです」とフィードバック。
4 「M A R U S H O.」(丸本 勝太/バンタンデザイン研究所 東京校/@marusho._official)
――― 最終審査会に進んだ今の気持ちは?
丸本さん
「自分のブランドを持つための第一歩として挑戦しました。
緊張していますが、今を楽しもう!というスタンスです。
最終審査会では、いろいろなブランドのデザイナーに会えて、新しい発見ができて楽しいです」
そして迎えた、プレゼンテーション本番。
丸本さん
「ブランドコンセプトは、『Que Wear・憧れへの合図』。
僕は自分に自信がありません。
自分の憧れてるものや人に対して近づこうとする反面、否定的になることも。
具体的には、女性が持つ強さ、美しさ、曲線美に惹かれます。
そんな自分に打ち勝つため、同じ境遇の人たちに勇気を与えられるように、que(合図)を出せたら。
シーズンテーマは、『silent erotic』(むっつりスケベ)としました。
隠してしまう憧れを少しでも強調したい。似た想いを持っている人たち後押ししたい。
『silent eroticでもいいじゃない』 と、言いたいです」
コレクションは、メンズライクなシャツに、ビスチェを潜ませるなど、
マスキュリン+憧れのフェミニンさを共存させたアイテムが並びます。
5 「yousuke haga」(芳賀 陽介/大阪文化服装学院/@yousuke_haga)
芳賀さん
「ブランドコンセプトは、様々なカルチャーや思想に影響を受けた若者へ、
自己表現の一助となるようなアイテムを提案します。
シーズンテーマは、night hawks。
私は夜中に街を散歩するのが好きなのですが、パジャマにコートやジャケットを羽織って出かけると、
街灯の明かり、道路の白線や信号などが、鮮明に見えます。
夜ならではの孤独感や景色をコレクションに落とし込みました」
生地に「オパール加工」を施すことで、街頭の灯りを表現したり、
道路の白線をプリントしたりし、細部にまでこだわって世界観を表現。
6 「Bill Bill」(世良 洸稀/河村 小太郎/大阪文化服装学院/@billbill__official)
河村さん
「『自由思想な服』をコンセプトにしています。
アートギャラリーで見たインスタレーションアートに衝撃を受け、
アートにおける空間作りの大切さに気づきました。
二人で『アート作品を引き立たせる空間」のような服が作れれば、より人の個性を引き出し、
アートギャラリーとファッションのお客さんを巻き込めるのではと考え、このブランドを始めました。
シーズンテーマは「Colorless bible」・色のない聖書という意味です。
幼少期から見て育ったカートゥーンの2次元の『誇張された動き』を、シルエットで取り入れています。
ルックは白で統一し、凝り固まったルールや考えを自分好みの色に塗り替えて欲しいという意味を込めています」
吸い込まれるような形のシャツなど、カートゥーン発想のコミカルさ、
オールホワイトならではの『自由思想』さが融合したコレクションに。
7 「AYUMU YAMAMURA」山村 歩/大阪文化服飾学院/@ayumu___yamamura)
山村さん
「ブランドコンセプトは、『don't be a chameleon 臆病な自分の強さの主張』。
恐布と劣等感を抱え不登校だった学生時代、
友人に言われた「カメレオンになれ』という言葉に抗い、自己主張しています。
今シーズンテーマは『Flame to Chaos 常識から個性に』で、画一的な就職活動に対する抗議の意味と、
どれだけ自分自身の個性に価値や説得力を持たせるかというチャレンジの意味があります」
ライスレザー、ライダースジャケットなどパンク要素もありながら、
自分自身の性格も加味した『naïve punk(ナイーブパンク)』なラインアップに。
8 「UBUNTU」(島田 大喜/武蔵野ファッションカレッジ/@ubuntu _tokyo)
島田さん
「『UBUNTU(ウブントゥ)』は、南アフリカの言葉で『あなたがいてくれるから私がいる』という意味。
ブランドコンセプトは、『ヒト・モノ・コトを繋ぐ服』。
シーズンテーマは、原点に立ち帰り、遊び心がありワクワクするワードローブを目指しました。
ターゲットは20代前半から30代前半の男性です。
温かみのあるものづくりを意識し、必ずハンドワークを施しています」
デザイナー自身が精神的に不安定な時期を乗り越えた経験から、
「温かく包み込んでくれるような、色々な人の助けになるようなものづくりができたら」と抱負を語ります。
9 「ISHIKAWA MAO」(石川 真緒/バンタンデザイン研究所 東京校 /@ishikawamao_official)
石川さん
「ブランドコンセプトは、"Healthy Corset"。まとうと心が整い背筋が伸びる強く優しい服です。
シーズンテーマは『DAY DREAM』で、柔らかい光に包まれた昼下がり、
肌で空気の温度を感じながら時を忘れて空想の世界を彷徨うイメージで、制作しました」
映画『哀れなるものたち』から着想を得て、袖を大きくしたりウエストを絞ったりしたコレクション。
細かな縦線を施すことで、違和感やファンタジーさを表現。
10 「Little Bedroom」(小松 大空/バンタンデザイン研究所 東京校/@little_bedroom_)
小松さん
「私自身、アニメ、インターネットなどいわゆる“オタクっぽいカルチャー”の影響を受けて育ちました。
自身の背景から、コンセプトは『GEEK CULTURE STRIKES BACK!』としました。
日本が誇る文化のひとつに『アニメ』があると思います。
これはファッションに落とし込んでも世界で十分に戦えるコンテンツ。
日本のギークカルチャーをベースに、今季は『SF』要素も取り入れています」
アイコンアイテムは、Made in 岡山のデニム生地に、苔の特殊加工を加えた「苔デニム」。
小松さん
「苔の加工は、『ジオラマの加工をアパレルに応用できないか?』と試行錯誤して編み出したオリジナル。
『Little Bedroom』にしか実現できない特殊加工です。
昨日の展示会で40本のオーダーをいただきました。
1度洗濯した状態ですが、取れにくいのも特長です」とアピール。
小松さん自身、Tシャツを販売する企業のM&Aを経験。
展示会では自社がプロデュースする「クラフトビール」も用意!
圧倒的なビジネス経験を武器に、プレゼンというよりも、さながらリアル「商談」のような雰囲気に。
11 「KANTA」(井上 栞太/大阪文化服装学院/@kantabykantainoue)
井上さん
「ブランドコンセプトは『真面目に不真面目』。
奇抜な服を着たいけど、あまり勇気が出ない人に向けて、真面目なようで不真面目なメンズウェアを提案します。
シーズンテーマは 、日常を演じる『SpotLife: the performative generation』と設定しました。
今のSNSは、つくられた“リアル“を追及している気がします。
僕には、偽りにしか見えません。現代 SNS に対して自分が持っている疑問を問うコレクションです」
着るだけで「筋肉ムキムキ」に見えるスウェットなど、アイロニカルなアイテムも。
12 「RIKUTO SUZUKI」(鈴木 陸斗/バンタンデザイン研究所 東京校/@rikutosuzuki.co.jp)
鈴木さん
「ブランドコンセプトは『情景を映すものづくり』で、
自分が好きな場所・渓谷での舞踏会をテーマにコレクションを展開しています。
中世のシルエットに、生地加工にこだわり、アウターは加工しているところ、
非加工の部分のグラデーションが楽しめるように設計しています」。
他に、韓国代表ブランド「MEG KIM」、「YUNSÉ」(デザイナーYOON SE JUNG)、
台湾代表ブランド「PCES」、「ccyeh」(デザイナーYeh, Chia Chin)がプレゼンテーションを行いました。
厳正なる審査を経て、いよいよAWARD発表へ。
13 韓国代表ブランド「MEG KIM」からメッセージ】 「MEG KIM」デザイナーKIM JIEUN(@megk1m)
「ここまでくることができたのは、多くの方の励ましと支援のおかげです。
ファッションは服を超え、私のアイデンティティと創造性を表現する手段です。
AFCに参加し、さまざまなインスピレーションを受けました」
14 台湾代表ブランド「PCES」からメッセージ
「PCES」デザイナーYu Chi, Lee / Chih Yun, Chang(@pces_studio)
「このような機会を与えてくださりありがとうございます。
各ブランドの素晴らしい創造性に影響を受けました。
日本の皆様と協力し、日本の市場も開拓していけたらと思います」
15 AFC実行委員/パルコ執行役員・溝口岳様 メッセージ
「7月の第1次審査、9月の第2次審査と、皆さんの作品と向き合ってきました。
今日届けていただいたメッセージは期待通りであったり、期待を上回ったりしました。
昨日は100名ほどのバイヤー様にご来場いただき、あるブランドは40本の発注がついたと聞きました。
展示会形式で、一段と成果を感じられたと思います。
NYに行けるブランドさんも、行けないブランドさんも、ファッションに真剣に向き合っていただきたいと思います」
16 審査員賞を発表!!
WWD JAPAN 編集長村上要賞は、「yousuke haga」
Midwest バイヤー大澤 錬賞は、「Little Bedroom」
株式会社Aout 代表取締役(LITMUS) 川﨑 吉朗賞は「Bill Bill」
「MASU」デザイナー 後藤 愼平賞は「AYUMU YAMAMURA」
現代百貨店 商品本部 YOUTHチームバイヤー Jeong Kyung-Eun賞は「Little Bedroom」
株式会社Sakas 代表取締役 Sakas PR Director長坂 啓太郎賞は「KANTA」
株式会社三越伊勢丹 リ・スタイル バイヤー 橋本 航平賞は「Bill Bill」
阪急メンズ東京 GARAGE D.EDITバイヤー日比野 智之賞は「AYUMU YAMAMURA」
FASHIONSNAP.COM 編集委員/ディレクター 芳之内 史也賞は「yousuke haga」
株式会社ニュースタア 代表取締役インキュベーター 渡部 宏賞は「UBUNTU」に決定。
17 NYステージに進む、日本代表3ブランドは……!!
「MASU」デザイナー 後藤 愼平様
「受賞された3ブランドは、すぐにでも日本のファッションを引っ張っていけるくらいに考えられていて感動しました。
結果は、僅差でした。なので、受賞できなかったブランドも誇りをもってください。
自分と向き合い、自分らしさ、日本らしさが表現されていて、それが素晴らしいと感じました。
これから一緒にファッションを盛り上げていけたらと思います」
2025年2月、「New York Fashion Week」にてランウェイデビュー。
「yousuke haga」(芳賀 陽介/大阪文化服装学院/@yousuke_haga)
芳賀さん
「この度は貴重な賞をいただきありがとうございます。
緊張と驚きのあまり、うまく言葉がまとまりません……。ありがとうございます」
「Bill Bill」(世良 洸稀/河村 小太郎/大阪文化服装学院/@billbill__official)
河村さん
「反省もあり、ふたりで壁にぶつかりながらもできたコレクションです。
選んでいただいて、すごく光栄です。NYでは、より一層求めているものに近付くように新作も用意したいです。
自分たちのデザインは作品的で『アジアが求めているマーケットからは、遠いのでは?』
という気持ちもありましたが、評価していただき自信につながりました」
世良さん
「色んな人に手伝ってもらっていたので、心からのお礼を伝えたいです」
「Little Bedroom」(小松 大空/バンタンデザイン研究所 東京校/@little_bedroom_)
―― プレゼンでの手応えはあった?
小松さん
「1日目に受注があったので、2日目のプレゼンに組み込み『すごい感』が出せるなとは思いました。
また、セレクトショップさんから別注のオファーもいただいたので、『苔デニム』も展開していきたいです。
NYでのランウェイを歩けるということは、今後営業をかけるうえで、重要な実績になると思います。
NYまでに2着くらいは追加したいです。ありがとうございます!」
―― バンタンデザイン研究所で学んで、良かったことは?
「バンタンデザイン研究所に入学してAFCの存在を知りました。
自分のブランドが独立するまでのキッカケを掴みやすい環境だと思います!」
18 審査員長・「WWD JAPAN」編集長 村上要様
「最近、良いファッションショーとは何かと考えます。
今のところ自分の中ではふたつあります。
ひとつは、期待しているものが出てくること。
もうひとつは、言語化できないくらい新しいものが出てくること。
ちょっとした違和感を持ちますが、その違和感とは何か、突き詰めたくなるようなものです。
共感される部分と、違和感さえ抱くほど新しいもののバランスが大事なのだろうと思います。
選ばれた3ブランドは、その両方が同居していたから受賞されたと思います。
2月のショーもそんな視点を持って頑張っていただけると、素敵なショーになると思います!」
19 バンタン代表・吉岡忠樹よりご挨拶
「賞を取る・取らないに関係なく、自分の作品にこだわった数カ月だったと思います。
自分のやりたいことを世界に届けたい、とものすごい情熱を注がれたと思います。
プレゼンテーションでは、
小松さんが『日本人の自分でしか表現できないことを、ニューヨークに、世界にぶつけたい』とおっしゃっていて印象的でした。
皆さんが、日本、アジアをリードする情熱を育まれたことを誇りにしてください。
大きな感動をいただきました。ありがとうございます」
授賞式後は、アフターパーティを実施!
各国のデザイナーがコミュニケーションを取り、互いの努力を称え合いました!
また、審査員から激励やアドバイスをいただけるシーンも!
NYコレクションを勝ち取った3ブランドのこれからに、ご期待ください。
【OFFICIAL】