森永邦彦さんによる講演会【バンタンデザイン研究所東京校】

授業/特別講師/講演会
東京校
ファッション学部

6月14日、森永邦彦さんによる講演会が行われました。

 

数々の賞を受賞するブランド「ANREALAGE」のデザイナーである森永さん。

講演会はブランドの紹介ビデオから始まりました。

日常を非日常にすることをコンセプトにしたANREALAGEは手縫いのパッチワークから始まり、
最先端技術を使用したこれまでにないファッションを提案しています。

現在ではFENDIとのコラボやビヨンセの衣装制作にも携わる、ファッション業界を牽引するブランドです。

森永さんは今回の講演会で、これまでに制作した衣装を3点紹介。
その一つに、テクノロジーを使った作品がありました。

白色のジャケットに光を当てると、衣装が濃い紫色に変化!
これにはメンバーたちも驚いた様子で、感嘆の声があがりました。

次に、ANREALAGEの派生ブランドである
ANREALAGE HOMMEの東京コレクションの映像を紹介しました。


ここから、東京コレクションにてスタイリストを務めたTEPPEIさんがゲストスピーカーとして登場します。

コンセプトからモノへの落としかたについての質問をしたメンバーには、
森永さん自身の着想源についての話を踏まえたアドバイスがありました。


森永さん
「例えば、色。染色剤で何を描こうかな、と思った時にはまずその色を作るところから始めたり、
採寸する定規の尺をそもそも変えてみたり。
デザインを考える前に、デザインを作るモノ自体を作ってみたりしています。」


ANREALAGEにて、当たり前とされる服の形や尺度を変更したりと
近未来的なデザインを手掛けてきた森永さん。
当たり前を別の視点から見てみることを意識しているそうです。

メンバーから「森永さんにとって悪いデザインとはどんなものか」
という質問があり、森永さんは「デザインのゴール」についてこう語りました。


森永さん
「自分にとって最高のデザインが出来上がったとしても、仮に1着も売れなかったとしたら、
それは本当に良いデザインと言えるのかわからなくなりますよね。
ですが、売れなかったらそれは悪いデザイン、というわけでもないんです。
他者からの評価には一喜一憂させられますが、
自分の中から出した作品を、いつか自分で判断する時がきます。」

森永さん
「評価が付きものの世界で、自分が見つけたことや感じている想いを自分で信じ続け、
自信を持つことは難しいです。
でも、今は良くないと思ったデザインも、いつか、どこかですごく良いものになってくる。
競争とは全く違う場所で、自分だけのデザインを握りしめていくと良いと思います。」


またTEPPEIさんはスタイリストを志すメンバーに向けて、
デザイナーと仕事をする上でのスタイリストとしての想いを伝えました。

TEPPEIさん
「デザイナーが作るコレクションにおいて、スタイリストは、第三者です。
いかに新しい目線で作品を見て、デザイナー自身も気づけていない発見ができるかを大切にしています。
デザイナーと会話をしながら、スタイリングを通してコレクションをどう作るかを考えていくと良いですよ。」

最後には、森永さんとTEPPEIさんのお2人からメンバーに向けての熱いメッセージが贈られました。


森永さん
「ANREALAGEを作ってから20年、ファッション業界での活躍を諦める人を沢山見てきました。
皆さんは、ファッション業界を志してこのバンタンデザイン研究所に入ったと思います。
今のその気持ちを、ずっと忘れないでくださいね。
辛い時は自分がファッションに目覚めた起源を思い出して、粘り強く続けてください。
自分の信念が誰かに届き、ファッションを通じて新たな世界を見ることができる日がくるので、
それを楽しみに頑張って欲しいと思います。」

TEPPEIさん
「ファッション業界を選んだ時点で、何かしら信じたいものがあるということだと、僕は思います。
でもそれは時の流れとともに忘れていってしまう。
そんな時は、自分はなぜ服を作りたいと思ったのか、自分にとってのファッションの意味など、
根本的なモチベーションや気持ちを振り返りながら、やりたいことを続けていってください。」

自分の中にあるものを信じ続けること。それは安易な道ではないですが、
「情熱を忘れないで」
というお2人の言葉はメンバーたちの心を動かしたことでしょう。

シェアする