ラフォーレ原宿のPOPUPブースへの出店をかけた学内選考会をレポート!学生が個々に企画するブランドを全力でプレゼン! 【バンタンデザイン研究所】
学生が個々に企画するブランドを全力でプレゼン!
1月27日にデザイナーズメゾン校舎にて、ファッションプロデュース専攻1年生、2年生による学内選考会が開催されました‼
この専攻では学生たちが自ら独自のブランドを企画・制作し、広告・マーケティングから、販売までを一貫して行います。
この日のプレゼンで高い評価を得て選抜された学生たちのブランドは2月中旬からの「ラフォーレ原宿」のPOPUPブースに並び、自らが販売を行って、トータルで実践するカリキュラムの一環です。
デザイナーズメゾンの2Fと5Fには、選考会に参加する全36名のブースがずらりと並びました。
各ブースの前に5名×2グループの審査員が集まり、同じプレゼンを2回行う形です。
ブースを勝ち取るのは、ここから選ばれた16名のみ。
緊張感のある雰囲気の中でも、それぞれの情熱が込められたプレゼンの様子をピックアップしてご紹介します!
■オリジナルなストーリーやアイテムでアピール
<「ヲタ活」で身に着けるアイテム>
「ジャニオタ」たちのヘアアクセサリーへの意識が高いところに着目し、“Lishim”という名のブランドを制作したのは1年生の江川さん。
彼女自身が「なにわ男子」のファンだそうで、「ジャニオタさんを原宿に呼び戻す」という熱い想いを込めたプレゼンを展開。
ファンたちがライブやイベントに参加するなど「ヲタ活」をするときのアイテムとして、リボンを身に着けてもらえたら、という考えのもとで制作。
色合いはメンバーカラーを意識した、と話します。
<「脳みそがカラフルな人」がターゲット>
ニットのブランド”AMALILIZ”を手がけるのは1年生の飯野さん。
ニットの商品が数多くある中で、「ニット以外のものを編みこんだことで差別化を図った」と話します。
プチプチの素材やビーズなどを編みこんだところが特徴です。
「想定する客層は?」という審査員からの質問に対しては、「脳みそがカラフルな人」というなんともユニークな答え。
奇抜な服を好んで着るなど、流行に乗りすぎない自分を持つ人だと話します。
■プレゼンへの準備や工夫も入念に
選考会ではコミュニケーションにも配点が設けられています。
売り場で扱ってもらうためには、独自の商品を上手にアピールする力も必要です。
それぞれが配布資料を用意するなど、みなさんの準備も入念でした。
<プレゼンも準備万端!子どもたちと色塗りも!>
プレゼンへ向けてノートに、丁寧にびっしりと記述していた1年生の遠藤さん。
終了したあとに声をかけてみると、安堵の様子がうかがえるほどでしたが、練習の甲斐あって、特に2回目のプレゼンはリラックスしてできたそうです。
自分でデザインした花柄をTシャツなどにプリント。
バンタンに入る前は「保育士になりたい」という夢もあったそうです。
学童保育でアルバイトをしており、そのときに子どもたちと遊びながら一緒に色塗りをしたというステッカーも用意されていました。
<手製キャンドルで好感触!講師を思い浮かべて練習>
「みなさんはキャンドルにどういう印象をお持ちですか?」という審査員への投げかけから始まった小塚さんのプレゼン。
彼女自身は編み物や小物が好きで、幼い頃にキャンドルを作った記憶があること、最近は20代前半までの間でキャンドルが好きな人が多いことから企画したと話します。
また、海外のお菓子やヨーロッパの空気感があるものが好きでそこからポップな感じや、大人っぽさを着想して表現したそうです。
「これが100個くらい並んでいたら超かわいいと思う!」と、ある審査員の女性からは賞賛の声も。
“GODIVAのような”という、小さな商品リストにも工夫が感じられました。
歯切れの良いプレゼンについてあとから尋ねてみると、「中川講師がしっかりした方なので、お顔を想像しながら伝えたいことの要点をまとめ、繰り返し練習しました」とのことでした。
■個性とセンスが光る展示、販促手法にも工夫
<自身の世界観を描いたアートとともに>
比嘉さんのプレゼンは彼自身が持つアートに対する考え方から入ります。
それは自身の世界観や情景を表現し「勝手に手が動くもの」だと話します。
アイテムは「ハンドメイドによる最高の一点ものを」という考えで制作。
スウェットのカラフルな色合いは手染めで「無造作に行った」とのこと。
プリントされている絵は自ら描いたもので、原画は10代後半でも買いやすい価格帯の3,000円に設定し、額付きで展示販売。
アートにも親しんでもらいたいという思いがあるようです。
インスタグラムのアカウントを3つ用意しており、顧客に直接アプローチして、お店に来てもらえるようリーチしているといいます。
<ブランドを表現したカット撮影は自らディレクション>
2年生の池田さんは自身のフルネームから”SHUN IKEDA”と名付けたブランドを制作。
これまでも下北沢などでのブースに参加した実績を持ちます。
プレゼンのときに自らが着こなすジャケットは、近日発売される女性誌で、とあるアイドルが着用することがすでに決まっているのだとか。
商品は手刷りしたTシャツのほか、ジャケット、ニットなどがあります。
ブランドイメージが表現された写真の数々は、バンタンの行事を通して仲良くなった優秀なモデルさんを起用し、ロケで使う小物の準備も含めて池田さん自身がディレクションをする形で、カメラマンに依頼して撮影したとのことです。
さらにはiPhoneをタッチするだけでブランドのインスタグラムへ誘導できるという仕組みも自ら探して取り入れるなど、その感度の高さもうかがえました。
■業界で活躍するプロの目にはどう映るのか
審査員全10名の顔ぶれはセレクトショップやファッションサイトの運営者、デザイナー、スタイリスト、エディター、ラフォーレ原宿の担当者など、プロの現場で活躍する方々ばかりです。
それだけに審査員たちは顧客目線での評価だけにとどまりません。
「この製法は〇〇(ブランド名)の特許があるのでは?」といった確認を含めた質問が飛び出したり……
実際に商品につけられた値札を見るや、
「原価率はどのくらいですか?」
「卸値の割合を下げると、お店側も飛びつきますよ」と具体的なアドバイスまで。
とある学生のプレゼンに対しては
「10代が多いラフォーレ原宿で上質なブランドを出店する意味は?」
などといった厳しい指摘も、中川講師を含めた審査員たちから飛び出します。
これこそファッションプロデュース専攻ならではだといえます。
現場感覚を踏まえた鋭い視点で切り込むのは、しっかり準備してきた学生たちの熱意を評価したうえでのことであり、今後への期待を込めての発言に違いありません。
1回目、2回目と発表が終わるごとに学生たちからは独特の緊張感から解放された様子が感じられ、他の学生の発表を見に行くなど、普段の学校生活らしさも垣間見られました。
ラフォーレ原宿でのPOPUPブース参加への切符を手にした学生たちは、実際に販売も行うことにより、お客さんの反応や売れ行きにも触れることになります。
果たしてどのブランドが並ぶのでしょうか。