<トップクリエイター育成・特別授業>「SAUVENIR」プロデューサー小林時生講師が教える!自分のブランドを紹介する「コンセプトブック」のグラフィック制作授業に密着
バンタンデザイン研究所では、在学中からトップクリエイターから直接指導を受けることができます。
【トップクリエイター育成授業とは】
出席率など一定の基準を満たしたメンバーに向けた特別授業。
教えてくださるのは、自社アパレルブランド「SAUVENIR」をプロデュースする小林時生講師。
【PROFILE】
新卒でFREAK’S STOREの販売職を経験後、同社のグラフィックデザイナーに抜擢。
BAYCREW’Sに転職後、グラフィックデザイナーとECバイヤーを2年間兼任。
同社ではグラフィックデザイナー、商品企画のデザインやSNS周りのコンサル業務も携わりつつ、
自社アパレルブランド「SAUVENIR」を運営している。
現在は、FASHION YouTuberの会社でSNSのグラフィックを行っている。
「今は会社員をしながら、業務委託で働いています。
最初からグラフィックデザイナーだったわけではありません。
新卒では、立川ルミネで1年半ほど販売員をやっていました。
休日も出社し、半年間グラフィックデザイナーの仕事を見て学びました。
給料も交通費も出ないけれどアピールをしていました。
先輩が異動してポストに空きが出てデザイナー職に。どう行動するかは自分次第です」
1 学生は起業より一度就職を
「この中には、独立したい人、就職したい人もいると思います。
いずれ独立したい人には就職がオススメです。
『9時-17時で働き、毎日満員電車で通勤するのが無理』みたいな人もいると思います。
でも、将来の明確な像を描きやすいのが就職でもあります」
「あるブランドをしているデザイナーさんは、元々は『生産』の仕事をしていました。
工場とデザイナーの橋渡し役です。デザイナーから仕事依頼がきて工場に生産を依頼します。
工場は、大手の何千枚、何万枚を受けることを望んでいるので、
一般的に1型100枚以下の発注は受けてくれません。
そこで大手ブランドの生産依頼を受けたときに、
自分自身のブランドも抱き合わせで工場にお願いしていました。
その人は小規模からブランドを始めることができます。
「SAUVENIR」でも、一部ノベルティグッズをOEM会社にお願いしています。
普段は開かないような工場さん、OEM会社さんに動いていただくことができています。
仕事の仕組みを理解しないまま試行錯誤するのも勉強にはなると思いますが、
会社に入ればアパレル業界の知見を得ることができます。
どこで作れるのか?いい工場ってどういうところなのか?
そうした積み重ねやコネクションを、会社はすべて持っています。
ネットには公開されていない情報も多いです」
2 小林時生講師の歩んできたキャリアとは?
小林講師は2浪して美大に入学し、就活ではファッションデザイナーになりたいと思っていたそう。
就活ゼミに入り面接練習に励み、4月にはリクルートサイトに登録。
約18社にエントリーしましたがデザイナー職を募集する企業はごくわずか。
販売職&総合職に応募するも、1次面接落ちも多く……
「心は病んでいきました。面接では、『僕はこういうものを作りたいんです』
と制作した洋服を持っていきました。
面白いと思ってくれたのが、FREAK'S STOREとURBAN RESEARCHです!
でも、両方落ちたらプータロー確定(汗)」
面接官が何を求めているかが少しずつわかり、相手が求める答えを言えるように。
「初代社長に『才能を感じる』と言っていただき、FREAK'S STOREに入社を決めました。
色彩検定なども取りましたが、要はどういうマインドの人と働きたいか。
検定を持っているよりもハキハキ元気に受け答えができる人と働きたいと思います。
僕みたいに『こういうのを作りたいんです!』という人は、
働くイメージができないからはじかれやすいです。
デザイナー募集でいうと、BAYCREW’Sという会社は従業員が約5000人います。
販売権総合職は200名くらい採用します。そのうちデザイナー職は何人くらいいると思いますか?」
メンバー「3~5人とか?」
時生講師「そう、5人くらい!デザイン職は特殊です。
店長、プレス、VMDのお仕事は総合職からも目指せますが、
デザイナーに限っては最初からデザイナーでないとなれません。
本当にデザイナーになりたいなら、小さいOEM会社でもいいのデザイナー職で就職をして」
とアドバイス。
3 自身のブランドを作る「コンセプトブック」を発表
「皆さんがプロのデザイナーより上回っているのはアイデア力です。
それが売れるものかどうかはまた異なります。
つくりたいものと売れるものは違います。
では、『SAUVENIR』を例にとりましょう。
全人口の半分はファストファッションで洋服を購入しています。
残り半分にアプローチするためには、ファッション単体ではなく×何かの要素を合わせたほうが、
パイが増えますね?そこで、雑誌『POP-EYE』をヒントに、
釣り堀、麻雀、サウナなどおじさんがやっているカルチャーを合わせて裾野を広げようと思いました。
ビジネスを軌道にのせることを考えて、ファッション×サウナとしました」
講義を終えたら、ワークタイム!
【課題】
自分のブランドを作る想定で「コンセプトブック」を作成。
そもそも、コンセプトとは、ブランドの「根本的な価値観」や「哲学」を伝えるもので常に一貫している。
対してシーズンテーマとは、特定の季節における「ムード」や「流行」のこと。
毎年または季節ごとに変化するもので、例えば「2024年春夏のビーチスタイル」など。
一部メンバーは、IllustratorやPhotoshopを使った経験がありますが本特講で初めて使うという人もいます。
「要点をおさえていただきたいです。
ポイントは『文字の大きさ』、『規則性』、『余白を設ける』ことです」と小林講師。
ちなみに、授業で頻出したキーワード「グリッド」とは水平線と垂直線で分断し、
格子状の線を組み合わせたもの。
画像、ロゴ、文章を配置する際に、方眼紙状の線、ブロックラインを組み合わせた背景にそって考えると、
要素を最適に配置でき、統一感を出すことができます。
小林講師はメンバーの制作過程をチェックし、「ちゃんとシンメトリーを意識できていますね!」
と勇気づけてくれています。
ここからは、メンバーのプレゼンをダイジェストで紹介します!
ファッション総合コース1年・鈴木流奈さんは自身のブランド「UNE REALITY」を提案。
「ブランドコンセプトは『キュートにねじれて混ざり合う現実と非現実』。
シーズンテーマは『キラキラの妄想で現実をカバーする』。
今季のシーズンカラーは、肌色に近いピンク、青みピンク、ミントブルーです。
提案アイテムは3つで、魔法少女や変身ヒロインから着想を得たデザインです」
小林講師
「文字の大きさが素晴らしいね!そして、コンセプトがとんでもなくいいね!
ECバイヤーを2年間していたのですが、3つのデザインに共通点が見えるとなおいいと思います!」
と、グラフィックデザイン&ファッションビジネス両方の観点からフィードバックしました。
鈴木さんは「もともとグラフィックデザインも好きなので面白いです。
授業を受けてみて、デザインに、規則性と余白があることで見やすくなるとわかりました」
3年生ファッションデザイン専攻・石田さんのブランド
「Frail Vail」のコンセプトは「生きづらさを着飾る」。
「日々、SNS、人間関係で感じる生きづらさの中で、どうすれば自分に自信がつくかを考えました。
外部を変えるのは難しいと考え、ならば自分に自信をつけるために『取り繕う』ことから始めよう
というメッセージを込めました」
ネックコルセット、コルセットベルト、シアートップスなどフェティッシュなアイテムを提案。
プレゼン資料では、イメージボードやデッサン画が見やすく配置されていました。
在学中から、業界をリードするクリエイターの実践的授業を受けることで、
業界で求められるスキル、クリエイティビティを養います。