24年2月ニューヨーク・ファッション・ウィークでのランウェイデビューを果たすのは?渋谷ヒカリエにて、「Asia Fashion Collection 11th」国内最終審査会/展示会を実施!【バンタンデザイン研究所】
バンタンとパルコが主催する、「Asia Fashion Collection 11th」(以下、AFC 11thと表記)。アジアの若手デザイナーを発掘・インキュベート(※1)するプロジェクトで、韓国や台湾などアジア各国機構と連携し、今年で11回目を迎えます。
AFC 11thは国内最終審査会を、これまでのファッションショー形式から「展示会形式」に変更!
2023年10月20日(金)と10月21日(土)に、渋谷ヒカリエにて開催しました。
当日は、日本の2次審査(デザイン画及びトワル審査)を通過した10ブランドと、韓国と台湾の代表ブランド計16ブランドが出展。
ファッション業界をリードする9名のバイヤー、メディアの方々が審査を行い、日本代表として3ブランドが選出されます。日本代表ブランドは、2024年2月に開催されるニューヨーク・ファッション・ウィークの公式コンテンツとしてランウェイデビュー!技術面だけでなく、制作費、渡航費のサポートを受けることができます!!10月21日に行われた、国内最終審査会をレポートします!
<1.国内最終審査会には、10ブランドが参加>
1.「MARI ENOMOTO」榎本 麻鈴さん/大阪文化服装学院 在学/@marienomoto_
「ブランドコンセプトは『I WON‘T BE YOU.YOU CAN’T BE ME』。ターゲットは、個性的でありたい20代で、No,1に輝きたい人に向けています。シーズンコンセプトは『ESCAPE』です」唯一無二でありたい、というブランドコンセプトに即し、星、目元の総柄などポップでインパクトのあるコレクションに仕上げました。
2.「KIYOKA HASE」長谷 雪花さん/大阪文化服装学院 在学/@kiyokahase
「FREE YOURSELF(自分自身を解放しろ)」をテーマに、モードと機能性兼ね備えたアクティブウェアを提案。
24S/Sの着想源は、「終末の世界で、自分の居場所を求めてて怪物と闘う少年少女。ラストで、自分自身が怪物だったと気づくストーリーをもとに、MILITARY×HIPHOP×ALIENをミックスして制作しています」と、プレゼン。
3.「JEKID」村山 達也さん/バンタンデザイン研究所 東京校 卒業/@jekid_zzz
「コンセプトは人間のタブーです。人の内側に秘められたものから着想を得ています。カテゴライズが世の潮流ですが、白黒ハッキリさせない、好き嫌いのグラデーションにフィットするアイテムです」と、デザイナー村山さん。ニット、ライダース、コートなど幅広いアイテムを、同世代のクリエイターと共に制作。また、デザインの一部にAIを活用しました。
4.「MIARI SHIGETA」重田 美有さん/大阪文化服装学院 在学/@miari__shigeta
「the magic of falling in love with you “自分に恋する魔法” がコンセプト。私の服を着る人たちには常にハッピーでいて欲しいし、自分自身を大好きになって欲しいです」と重田さん。
テーマは「CYCLING TRAIL」!混雑もなく、自分の好きな場所に行ける自転車のウェアをプレイフルなカラー&プリントで表現。車輪を模したメタルパーツも、キャッチー。
5.「KOKORO TANIGUCHI」谷口 こころさん/大阪文化服装学院 在学/@kokorotaniguchi_
「テーマは現代と自然の融合で、今シーズンは、『植物園株式会社』という架空の企業への就活をテーマにしてます。現代人の日常に眠っている、好奇心を呼び起こすようなコレクションです」
また「バイオファブリック」を自作するなど、素材への探求も感じられます。
6.「KEIGO YAMAUCHI」山内 啓伍さん/上田安子服飾専門学校 卒業/@mstr.keigoyamauchi
コンセプトは「大人のキッズライン」。デッドストック生地を使い、小ロットで生産。「人の成長とともに歩める服、古着としても流通するようなクオリティで作ります。余白を残し、今の身の丈に合わなくても自分だけのものになるようなアイテムです」と山内さん。
7.「HEO」近藤 優里さん/バンタンデザイン研究所 大阪校 在学/@heouri_official
「双子で重国籍」というバックグラウンドを持つ近藤さんは、「アイデンティティの曖昧さ」に着目。
「アイデンティティがないと思っていた時期もありましたが、実はこれ自体が独自性だと気付きました」A journey of self-discoveryをテーマに、異なる生地の組み合わせや2色以上の染めを用いて自己表現を楽しむ人に向けたデザインを提案。
8.「UBUNTU」島田 大喜さん/武蔵野ファッションカレッジ 卒業/@ubuntu_tokyo
「UBUNTUとは南アフリカのズールー語で人との繋がり、人の優しさ、他者への思いやりを意味します。ヒト・モノ・コトを繋ぎ、鮮やかな日常を届けたいと思い、どのアイテムにも必ず手作業の工程を入れています」
ハンドクラフト感があり、作りての温度を感じられるコレクションに。
9.「sun below」笈川 夏愛さん/バンタンデザイン研究所 東京校 在学/@sun_below_
「長年、打ち込んできたボクシングを通して、なりたいものになれなかった自分、たくさんの見てくれない人、数少ない見てくれる人、自分の中の葛藤、そして応援してくれた父とのパーソナルな思い出をコレクションに昇華しました。人生の中にある小さな輝きを、ファッションを通して伝えたいです」と笈川さん。
ボクシングのトレーニングウェア風セットアップ、父が着ていた作業着など、2歳から22歳までボクシングをしていたルーツを随所に表現。
「かわいい!」と、WWD JAPAN編集長 村上様。また、FASHIONSNAP .COM 編集委員/ディレクター 芳之内様もスタジャンを試着するなど、関心の高さがうかがえます。
10.「elA.」 田口 裕大さん/文化服装学院 在学/@ela.___design
「『老化』をテーマにしたコレクションです。一般的にはネガティブなイメージがありますが、私は老人に対しての敬意を持ってます」モードな雰囲気の中に、体が老いることで起きるボディラインや視野の変化をディテールとして取り入れ、独自のクリエイションに。
<2. AWARD CEREMONY!>
すべてのプレゼンテーションを終え、待望の授賞式を迎えます。
パルコ 常務執行役員 溝口岳様「東京ステージによって得られるチャンスを最大化するため、ビジネス直結の展示受注会にしました。百貨店やバイヤー様にお越しいただき、実り多い2日間だったと思います。さて、これより審査結果を発表しますが、ニューヨークに行けるのは3ブランドです。選ばれたブランドは、コンセプト、ディテールも一段突き抜けていました。2024年2月まで、期待も背負いながら頑張ってください」
<3. バイヤー・メディアによる審査員賞>
まずは、9社9名の審査員による「審査員賞」を発表!
村上 要 賞(WWDJAPAN編集長)……「MIARI SHIGETA」
神谷 将太 賞(株式会社三越伊勢丹 伊勢丹新宿店 婦人子供商品部 マネージャー)……「KIYOKA HASE」
川﨑 吉朗 賞 (LITMUS 代表取締役)……「MIARI SHIGETA」
小池 秀平 賞(株式会社TOKYO BASE STUDIOUS MENS div. BUYER)……「sun below」
長尾 悠美 賞(Sister代表)……「MIARI SHIGETA」
日比野 智之 賞(株式会社阪急阪神百貨店 阪急メンズ東京 GARAGE D.EDIT バイヤー)……「UBUNTU」
真部 大河 賞(株式会社シックスティーパーセント 最高経営責任者兼共同創業者)……「sun below」
芳之内 史也 賞(FASHIONSNAP .COM 編集委員/ディレクター)……「KIYOKA HASE」
渡部 宏 賞(株式会社ニュースタア 代表取締役インキュベーター)……「JEKID」
となりました。おめでとうございます。いよいよ、残すはGRAND PRIXのみ。
<4. TOKYO SATGEフィナーレ!日本代表ブランドは……>
ニューヨーク・ファッション・ウィークへの出場権を獲得するのは……
「MIARI SHIGETA」重田 美有さん
「KIYOKA HASE」長谷 雪花さん
「sun below」笈川 夏愛さん
です!!
受賞したデザイナーは……
「KIYOKA HASE」長谷さん(写真左)「このような機会を設けてくださり、ありがとうございます。ニューヨーク・ファッション・ウィークに向けて、もっと分かりやすく力強いコレクションにしたいと思います」
「MIARI SHIGETA」重田さん(写真右)「作っていて自分も楽しいコレクションでした。この気持ちを大切に、服を作っていけたらと思います」
「sun below」笈川さん(写真中央)「助けてくださった講師の方々や友だち、ありがとうございます。ニューヨークに行くと言っていたので、結果が出せて嬉しいです」
審査員総評として、WWD JAPAN 編集長 村上様よりメッセージ。
「クリエイトするうえで、作る力、届ける力の双方が大事だなと思っています。バタバタしていると、つい『なんで、やっているんだっけ?』を忘れがちですが、コアを持つことはデザイナーズブランドにとって、とても大事。他と差別化する第一歩です。従来よりも、クリエイションができていたなと思います。届けたい人に届けることは、作ることとはまた違う難しさがありますが、コアバリューがあれば、新しい方法でも届けることができます」
バンタン取締役 吉岡忠樹も「前回のプレゼンから拝見しておりますが、これまでの2ヵ月で大きく変わりました。情熱を持って考えを体現していこうという強い想いが感じられました」とメッセージ。
授賞式の後は、交流会も。
製菓・調理・バリスタの専門校・レコールバンタン在校生によるケータリング&バーカウンターが登場!「たらのクロケット」「鶏ハムピンチョス」など、ワンハンドメニューが提供されました。
参加ブランドのデザイナー、審査員、アパレル・メディア関係者が自由にコミュニケーションできる、リラックスした時間に!
最後に、24年2月ニューヨーク・ファッション・ウィーク出場権を獲得した、バンタンデザイン研究所 東京校 「sun below」笈川 夏愛さんにインタビュー。
<5. 日本代表ブランド・「sun below」デザイナー笈川 夏愛さん>
――― 日本代表ブランドに選ばれた、今の気持ちは?
「ホッとしました。受賞させていただきましたが、初めてのコレクションだったので、まだまだ勉強が必要です」
――― AFC 11thに参加した理由は?
「学生のうちに、自分の実力と、どんな評価をいただけるのかを知りたかったからです。また、AFC 10thの日本代表・désirデザイナー中村絢さんの存在も刺激になりました。昨年のステージを見ていて、『来年は、俺があの場所に立つ』と周りにも言っていました。有言実行できてよかったです!」
――― 制作での苦労は?
「ブランドのテーマを組み立てていく過程が難しかったです。何を伝えたくて、どう表現するのか?を、とても考えました。ブランドを作り上げる工程では、分からないことを中村さんに質問し助けてもらうこともありました」
――― バンタンデザイン研究所での学びは、AFC 11thに活かされましたか。
「そう思います。現役のプロ講師に教えていただけるので、マーケットにそったリアルなアドバイスがいただけます。工場も紹介していただきましたし、日々学んでいることを活かせたと思います」
――― 最後に、ニューヨーク・ファッション・ウィークへの意気込みを!
「日本代表として、海外に発信していきます。恥ずかしくないよう、ブラッシュアップをしてのぞみたいです!」
AFCへの参加を機に飛躍したブランドは数多く、日本では、岡本大陸(DAIRIKU)、林史佳(Fumiku)や和中碧(AOI WANAKA)らが存在感を示しています。
日本代表ブランド、そしてAFC 11thで健闘したブランドたちの今後に、ご期待ください。
※1インキュベーション……起業支援