「修了展」直前。メディアヘアメイク専攻1年次の集大成となる「スチール撮影」に密着。気になる作品は……?【バンタンデザイン研究所】
バンタンデザイン研究所は、在学中から実践的な技術を習得するためのプロジェクトが充実しています。
2月末日、メディアヘアメイク専攻1年次がのぞむのは、「水槽に浮いた脳」というテーマに基づいて、ZINEを制作するプロジェクト。このZINEは、1年間の学びの集大成イベント「修了展」に出品されます。
メンバーは、個別にテーマを設定し、コンセプトの設定からモデルのアサイン、ヘアメイク、撮影のディレクションまでをトータルで担当します。
注目の作品に迫ります。
<No.1 金市さん「Unbalance of everyday life 」>
「錯覚」や「二重人格」といったキーワードからイメ―ジし、AB型のアンバランスさを表現したという金市さん。「最近の自分が、アンバランスだなと感じているところから発想しています。顔の右側は白血球と赤血球、左はガン細胞のイメージでつくっています」とコメント。また、当初オールバックにする予定だったヘアは、遊びを加えるために一部ハネ上げにするなどして違和感を演出。
――――――制作を終えた感想は?
「BRAINという抽象的なテーマだったので、最初は『意味が理解できない!』と悩む部分もありましたが、非対称さやアンバランスさを表現できたと思います」
<No.2 名田屋さん「Visualize」>
タイトルは「Visualize」。
「クールな雰囲気の人の頭の中身が、ポップで可愛い様子を表現します。その人の頭の中を具現化するイメージでヘッドピースをつくりました。毛糸やグミなど、さまざまな素材をつかっています。メンズモデルさんを起用した理由は、女性にカラフルなヘッドピースをつけると、キレイにまとまりすぎてしまうと思ったからです」と意図を明かします。
ジェンダーニュートラルなモデルさんが醸し出す雰囲気は、作品の方向性とも絶妙にマッチ。
<No..3 大崎さん「Anti-Perfectionism」>
「自分にとって、どのような要素が思考に影響を及ぼしているかを考えたときに、完璧主義な点が挙げられると思いました」と大崎さん。
肌をセミマットに仕上げ、右脳側のペイントでは湾曲した線によって自由さを表現、対してヘアは左脳側に風が吹いていて逆毛が立ったスタイルに。
スタイリングではテーラードジャケットを裏表反対に着るなど、完璧主義に抗ったスタイリングに。
撮影を終えて、「メイクでは、特にグラデーションが悔しいです。色のムラが気になるので、2年次はもっと技術を磨きたいです」と、課題が明らかに。
<No.4 大木さん「Aquarium」>
テーマは、「Aquarium」。「水族館に遊びに行ったら、異世界に迷い込んだイメージでつくりました。泡は、シェービングフォームに着色しています」。
シューティング直前に、大胆にモデルさんのヘアにのせていく大木さん。
ブルーとピンクの2色のシェービングフォームを用いて、異世界に迷い込んだ様子を表現しました。
<No.5 丸尾さん「fu**ing パブリック生命」>
サラリーマンをイメージした作品。青く着色されたパートを「自分らしくない感覚」、左目のオレンジのアイシャドウを、希望として表現。
ハンドメイドで用意したアクセサリーは脳内を表していて、パールの一粒一粒が感情を表現しているそう。
「普段から日常を俯瞰して見てしまう癖があります。自分が言ったことが、まるで自分の言葉でないように感じることも。“自分なんだけれど、自分ではない”感覚を表現したいと思いました」と丸尾さん。
<No.6 宮下さん「どくろ」>
「コンセプトは『脳内ロリータ』です。脳が水槽に浮いているイメージでしたが、水槽の中身は必ずしも水とは限らないと思います。水槽をロリータ、脳をどくろだと考え、ロリータ&どくろを感じさせるダークなメイクを作ります」と話します。
<No,7 新谷さん「オーロラ」>
緑、黒、紫をグラデーションで表現し、3種類の形の異なるラメを配しました。
ヘアは、顔周りにウエーブをつけることでオーロラの波打ち感を表現。「BRAINというテーマを分解したときに、精神、自由といったキーワードが思い浮かびました。自然のモチーフを選びたかったので、その時々で形や色が変わるオーロラを選びました」。
シューティングでは光を落として、オーロラにライトを当てて撮影を始めます。
撮影中、「キレイ!」と、講師からもコメントが出るほど、幻想的な雰囲気を表現。
こまめにお直しに入り、顔周りの毛流れや、ヘアのアウトラインを丁寧に整えました。
<No.8 中澤さん「お花畑」>
「今日まで学校生活が楽しすぎて、脳内がお花畑なのではないか?というところからコンセプトを考えました。ぽわぽわ、ふわふわとした感情が続くといい、という気持ちを込めた作品です」。ツヤ感のある肌と、血色感のあるリップカラーが春らしさを感じさせます。
――――――撮影してみて、感想は?
中澤さん「シューティングをするまで、写真にヘアメイクがどのように映るかが分かりませんでした。なので、撮影は毎回勉強になります。1年次は可愛い系統の作品をつくることが多かったので、2年次はクールな作品にも挑戦したいです」
<No.9 池之上さん「Jelly fish」>
「コンセプトは、広い海を気の向くままに浮遊するJelly fish(クラゲ)です。気が付けば仲間がいなくなり、一人孤独を感じるように。孤独に気付いてから、初めてその感情に出合ったというシーンです」。
メイクでは、目元にリップグロスを塗ることでウエットな質感を表現。
また、撮影ではフォトグラファーさんが、光を巧みに操り、深海のきらめきや海の孤独さを演出。ギャラリーからも「可愛い!」「神」「めっちゃいい」といった声が。
池ノ上さんは「フォトグラファーさんのおかげで、思った以上に素敵な作品になりました。この手応えを大切にして、2年次も作品づくりを頑張ります!」と意気込みます。
1年次の締めくくりとして、自分たちの持つ技術や課題といった「現在地」が確認できる機会となりました。