<特別講演会>日本を代表するヘア&メイクアップアーティスト・冨沢ノボル氏が在校生にアドバイス。LIVEヘア&メイクデモンストレーションも披露【バンタンデザイン研究所】
特別講演 在校生へアドバイス!!
メイクデモンストレーションも披露
ヘアメイク業界を志すメンバーに向けて、冨沢ノボル講師による特別講演会が実施されました。
「皆さん、どうも~!冨沢ノボルです。ヘアメイク歴は30年になりますが、飽きることなく、やらせてもらっています」と明るくご挨拶。
まずは、数あるアイコニックの作品の中から、印象的だったWORKSをご紹介。「2020年の東京オリンピックの開会式・閉会式を担当しました。キャリアの中でも、いちばん大きいステージでした。スタイリストさんやモデルさんと一体になって、作り上げています」
森山未來さん、なだぎ武さんなど、著名人のヘアメイクも振り返ります。他に、ファッション誌、映画『ホリック xxxHOLiC』『ヘルタースケルター』をはじめ、「彼とオオカミちゃんには騙されない」キービジュアルや、広告、舞台、日本を代表する女優、歌手などの豪華作品を紹介しました。
<LIVE HAIR&MAKE-UP>
続いて、メンバーの目の前でヘア&メイクのデモンストレーションを実施。
モデルを務めるのは、ヴィーナスアカデミー在校生・鈴木ユミさんです。
まず、エアブラシで大胆に赤を入れ、左右対称に黒で三角形のフォルムを入れていきます。
時折、ひいて見て、左右の対称性をチェックする冨沢講師。
「メイクが映えるように真っ黒なスタイリングにし、テクスチャーの異なるアイテムを合わせました」と、スタイリスト里山拓斗さん。
「フォトグラファーが撮影してくださったものがモニターに映し出されます。いいですね~!」と、ご機嫌で撮影にのぞむ冨沢講師。
自ら風を当てて、「風にも負けないよ~」とモデルさんを笑わせて、テンションをアップさせながら進めていきます。
フォトグラファー・森康志さんが、被写体の手前に光を入れるなどアレンジし、透明感のある仕上がりに。
シューティングを終えると、冨沢講師が「じゃ、皆さんも入っちゃおうか!」とノリ良くご提案くださり、メンバーも入って、記念撮影させていただくことに!
日本を代表するメイクアップアーティストでありながら、フレンドリーな一面も。
<メンバーからの質問タイム>
最後は、在校生(以下、メンバーと呼びます)からの質問に一つひとつ丁寧に答えてくださいました。
――― 学生のうちにやっておくべきことは?
「もっと遊んだほうがいいかなと思います。ただ遊ぶのではなく、思い切り遊ぶのがいいとです。例えば、夏祭りや花火といったものの中に、イメージソースが隠されています。色んなことにチャレンジして、可愛がってもらってください。人のメイクをするうえで、色んな人を知っていないといけません。今、自分の中でホットなのは、昭和初期の映画です。当時の美容師さんは、フィンガーウェーブとかをバリバリしていて、技術がとても高い。いっぱい遊んでください。それが近道。この仕事って面白いんです。大変だな~とか思うときはあるけれど、僕みたいに長くやれる仕事だと思います」
――― どんなアイテムを使っていますか?
「仕事では、自分の中でのトップアイテムを並べています。けっこう韓国ブランドも多いですし、安いものも全然使っちゃいます。みんなと同じアイテムも、使いますよ」
――― アシスタントに求めることは?
「アシスタントは、なっておいたほうがいいですよ。師匠のお仕事を間近で見ていないと、特にナチュラルなメイクは『できる』と思ってしまう可能性もあります。一年目は、きっと道具を整頓して、見るのでやっと。二年目に、少しずつ次の工程が見えて、師匠が何をなさるのかを予想できるようになってきます。三年目に終了してもらおうと思っています。アシスタントには、僕になってくれという訳ではなく、自分らしくステップアップしてくれればいいと思っています」
――― アシスタントには、どうしたらなれますか?
「真っ白な気持ちで、頭をクリアな状態にしておいて。今までの経験があるかもしれないけれど、絶対に固まって欲しくないです。ヘアメイクさんのお仕事に、マニュアルはないんです。ベースを塗って、ファンデーションを、という定番のハウツーがあると思いますがモデルさんのコンディションが良ければ、リップだけで撮影にいっちゃうこともあるんです。ステップとしては、まず履歴書を送っていただきます。作品とかは、要らないです。美容以外のバイトよりも、どちらかというとヘアセットなどに携わっていたほうがいいですね。僕は、アシスタントをけっこう長くやっていますし、それはすごくタメになりました」
――― 冨沢さんが作品を作るうえで、どのようにイメージを作っていますか?
「遊んでいるとき、色んな人を見ています。人物も見るけれど、自然も参考にします。例えば、自然のグリーンのグラデーションに、赤い花がパッと咲いている風景もイメージソースになります。海でも波の上白くなっているサマも、メーキャップで表すことができます。色、質感、色んなものを見てアンテナを張っていることかな」
……と、ここで「今はこんなこと言っているけれど、私が学生だった時は、『あぁ……そうですか』みたいな気持ちでしたよ。みんなも、今は分からないかもしれないけれど段々と分かります」と、メンバーを明るく励まします。
―――― ヘアメイクさんとして、大事にしていることは?
「対人間なので、綺麗にしてあげたいなぁという想いでやっています。今のムードは、20年前のトレンドと現在がミックスしている感じですよね。私たちは、そのちょっと先を表現しなくてはいけないんです。ウエディングや成人式も最高じゃないですか?人をハッピーにしてあげられる仕事です」
――― オリンピックのお仕事について教えてください。
東京2020パラリンピックは、グッとくるものがあります。生まれつき障がいを持っている方や、事故にあった方などが出場しているので、何か力を加えてあげたいなと。東京2020パラリンピック前々日かな、通訳さんを通じて、『ピンクのエクステをつけたい』と相談されたんです。2日前でしたが、はい、と言いました。自分が寝なければいいと思い制作しました。当日つけてあげて、彼女が鏡を見て『ノボルさん、ありがとう』と言いました。26年一回も喋っていない方でしたが、喋れたんです。溢れ出るものがありました。『ヘアメイクで人を喋らせることができるんですね』、と通訳さんに言われました。いちばんのエピソードです。もっともっと、みんなを綺麗にしてあげられたらいいなと、いつも思っています。僕は、相手が大御所だから、とか仕事を区別することはないんです。いつでも気持ちを白くしていたいなと思いいます。皆さんみたいに、これからヘア&メイクをやっていく人は濁らず、白い気持ちでいてください!」と締めくくりました。
業界屈指のプロフェッショナルの技術や考えを垣間見ることができ、メンバーのモチベーションも高められました。