<産学協同プロジェクト>繊維専門商社・モリリン株式会社様との「大人がやらないから私たちが作ったリサイクルTシャツ」プロジェクトが始動。キックオフミーティングをレポート【バンタンデザイン研究所】
「大人がやらないから私たちが作ったリサイクルTシャツ」プロジェクトが始動‼
バンタンデザイン研究所では、「産学協同プロジェクト」を数多く実施しています。
在校生(以下、メンバーと呼びます)の実践力を高めることを目的とし、
社会や企業が抱えているニーズや課題に対し、
メンバーが持つ“デザインのチカラ”と若い発想力によって、その解決を目指します。
4月下旬、繊維専門商社モリリン株式会社様にお越しいただきました。
今回は、産学協同プロジェクト「大人がやらないから私たちが作ったリサイクルTシャツ」の概要と、
ファッション業界のSDGsへの取り組みについて学びます。
<ファッション業界におけるSDGsの取り組みについて>
モリリン株式会社 クリエイティブグループ 7部
水野様
「今回のプロジェクト概要の前に、まずはファッション業界のSDDGsの取り組みについてお話します。
繊維産業は、世界で2番目に環境を汚染する産業ともいわれています」
物部様
「環境負荷の総量を見ていきましょう。環境省によると、
年間環境負荷の総量は、業界全体でCO₂排出量が約90,000kt、
水消費量が約83億m³、端材等排出量が約45,000tとされています*1」
これを、服一着あたりで考えると……
「CO2排出量はペットボトル(500ml)約255本の製造分と等しく、また1着あたりの水消費量は浴槽約11杯分にもなります。」
衝撃の事実に、驚きつつもうなずいて聞くメンバーたち。
水野様
「最近では『大量生産、大量消費、大量廃棄』ではなく『適量生産、適量購入、循環利用』にシフトしています。
従来の一方通行のサイクルではなく、循環型(サーキュラー)モデルへの移行が大切です」と力を込めます。
ファッション業界で行われている、取り組みとして……
<Case Study 01/ヴァージン原料を使わない>
「未使用、未加工のヴァージン原料を使わず、生産時に発生する繊維廃棄物から再生されたナイロンを使用するなど、リサイクル素材を使うブランドもあります」
<Case Study 02/生分解性>
「テンセル™繊維は、自然由来の原料で作られているため、生分解性があります。なので、土に埋めると自然環境にかえることができます。
こうした生分解性の高い素材を使うこともサステナブルなアプローチの一つです」
<Case Study 03/カーボンニュートラル>
「カーボンニュートラルとは、CO2排出を減らして生産し、森林に二酸化炭素を吸収してもらうことで、
二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出量を0にしようという取り組みです」
<Case Study 04/循環型スキーム>
「例えば、布団には使わない羽毛から作られた『ダウンジャケット』など、限りある資源を循環型で活用しているアイテムもあります」
<Case Study 05/定量可視化>
「ザ・ノース・フェイスの『フラワーロゴシリーズ』はサステナブルな繊維を用いたシリーズです。
キャンペーンサイトでは、フラワーロゴシリーズによって削減された二酸化炭素の量を可視化する試みも行われています」
<Case Study06/デジタル活用で物資・人的ロス削減>
「デジタルを活用することで、物資・人的ロスを削減することも可能になります。
例えば、洋服の青山の『@SUiTS(エエスーツ)』は、人体計測データをもとに、3Dアバターを用いた着装シミュレーションが用いられました。
各パーツの設計にデジタルを活用することで、高いフィット感のあるスーツを作り出しています」
事例を紹介しつつ、水野様は、
「皆さんに覚えておいてほしいことがあります。それは、リサイクルをして生産するにはお金がかかるよということです。
ヴァージン原料を使って作る一般的な工程と比べて、何割増しかでお金がかかります」と強調します。
実際に、Tシャツを回収し、カットし、生地をすき、ほぐし、ワタ状にし……と、さまざまな工程を経てアップサイクルされた「編む前の糸」見本にも、触れさせていただくことに。
工程が増える分だけコストがかかるため、最終価格は従来品と比べて割高にならざるを得ない、という現状が分かります。
<産学協同プロジェクトOUTLINE>
物部様「『大人がやらないから私たちが作ったリサイクルTシャツ』では、バンタンデザイン研究所の学生からTシャツのグラフィックデザインを募ります。
デザインアイデアから選考し、Tシャツブランド『BODY PRO(ボディー・プロ)』を使用して試作を進めます。
その後、一般的にはサンプルを作るのですが、サステナブルな取り組みになるよう、
例えば『サンプルがないデジタル展示会』など新しい取り組みを行っても良いかと思います。
8月にはPOP UPストアを開催し、9月中旬にはMakuakeにて販売予定です。
また、今回受講されているメンバーが中心となって、バンタン各スクールからTシャツの回収を行っていただければと思います」
他にも、バンタンデザイン研究所映像学科メンバーに、本プロジェクトのドキュメンタリー映像を作成してもらう、といったアイデアも出ました。
Tシャツの回収から生産までのプロセスを撮影しMakuakeにて訴求するなど、学部を越えた連携にも、期待が寄せられます。
キックオフミーティングを終えて……
「ものすごく壮大な産学協同プロジェクトが始まるという印象です」と、WSファッションプロデュース専攻(以下、同専攻)西野 颯人さん。
富田 励椰さんは、「予想以上に大きな取り組みだな、と感じました。自分たちに務まるのかという不安もあります」
矢崎 鈴那さんは「企業様の期待値も高いので、頑張りたいと思います」と話します。
規模が大きければ大きいほど、社会に与えるインパクトも強くなります。
これまでに学んだ技術や知識をフル活用し、プロジェクトを牽引していってください!
*1……原材料の調達、紡績、染色、裁断・縫製までの全工程において。
出典:環境省 サステナブルファッション
https://www.env.go.jp/policy/sustainable_fashion/
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