3年制ファッションディレクター研究科生授業レポート。卒展2022に向けたトワルチェックに密着!【バンタンデザイン研究所】
バンタン卒業終了展「VANTAN STUDENT FINAL2022」に向けて
現役ファッションデザイナーよる最終チェック会を実施!
3年間の学びの集大成となるイベント、バンタン卒業修了制作展「VANTAN STUDENT FINAL 2022」が開催されます。
3年制ファッションディレクター研究科にとっては、バンタンデザイン研究所でのラストを飾るイベントです。
今回は、3人の講師が行うトワルチェックに密着。
ちなみに「トワル」とは、洋服を仕立てる際にデザイン、サイズなどを確認するため試験的に縫製したもののこと。
白地のコットンを使い、別名「シーチング」とも呼ばれます。
在校生デザイナーに、インタビューしました。
<竹内さん>
まずは、5ルックを提案した竹内さん。
「ブランド名は未定ですが、コンセプトは決まっています。
68年、69年代のヒッピーカルチャーを取り入れつつ、若者の『自由とは何か?』という想いを込めたブランドです」
『イージー・ライダー』を思わせるフリンジつきパンツ、デッドベアの胸元の形をイメージしたファーコートなどを提案。
「デニムのスーベニアジャケットの背面には、スカルの刺繍と『What is freedom?』
というコンセプチュアルなメッセージを入れる予定です」と説明します。
柵木講師からは「ジャケットはもう少し丈を短くするといいですね」とアドバイスが得られました。
他に、ソーイングの藤本講師、現役デザイナーとして活躍する講師がフィードバックを行います。
<宮良さん「Mariage」>
「5ルックを提案しました。2ターム(学期)で1ルック作っているので、新たに4ルック足しました。
『Mariage』は、ウエストを締め胸のラインを綺麗に見せるシルエットが特徴です。
まるでドレスを着ているかのような気持ちになれ、日常のちょっとした瞬間に華やぎをもたらすレディースブランドです」と発表します。
現役デザイナーの講師からは「可愛らしい世界観を伝えるために、
コットンやウールといった素材を選んだほうがいいのではないか?」というフィードバックが伝えられました。
宮良さんは「『Mariage』が目指すシルエットは、ポリエステルなどの柔らかい素材でないと思うように出せないんです。
確かに、生地にコットンやウールを使えば雰囲気は出せますが、色味が渋いので……。
何を優先して作るのかが、難しいですね」と葛藤を感じている様子。
<関田さん「SAIKA」>
関田さん「ブランドコンセプトは『憧れと自分に忠実な服』です。
『私が憧れている自分に忠実に服を作りたいし、着る人にも憧れと自分を忘れないでほしい』というメッセージを込めています」
シルエットについては、あえて固定したくないと話します。
「コレクションとして5ルックを見たときに、具沢山のカレーみたいにバリエーションを感じてもらえるようにしたいです。
私は北海道出身なので、雪国の中でも着られるような温かいセットアップを提案します」と発表。
特にジャンパースカートは、9回も型紙(トワルの前段階。洋服の設計図)を変更し、シルエットを追及したそう。
「とにかく可愛い冬服を作りたいという想いです。ただ、さすがに9回も直すと泣きそうになりますね」と話します。
バンタンとPARCOが主催するAFC(アジアファッションコレクション)一次審査を通過した経験を持つ関田さん。
バンタンデザイン研究所卒業後は特別進級クラス『X-SEED』に進学予定だそう。
<馬場さん「KOKI」>
「失恋をした女性が、夜にふと鏡を見て『KOKI』の服を着ていることで可愛い、
とか生きたいという希望を持てるように、そんな想いを込めたブランドです。
メンヘラなニュアンスを出すために、自分自身の気持ちが落ちたときにデザインを考えています。
着る人が過去を振り返らず、希望を持ってくれるキッカケになれば嬉しい」と説明する馬場さん。
例えば、さまざまなフォントで「204」と縫われたベスト。
204というナンバーは、元彼の部屋番号という設定など、一つひとつのアイテムにストーリーを感じさせます。
<樋越さん「BI」>
樋越さん「『BI』は、人の内面と女性の美しさを引き出すブランドです。
テーマは『Hidden Inside』で、すべての人が隠されたものを内面に持っていると考えました。
今シーズンのテーマは『Slightly Touched』。ブランドコンセプトの根源となったのは、
男性の体と女性の体を比べたときの違いを表現できたら、という気持ちです」と説明します。
例えば、LOOK3(中央)は……
樋越さん「ウエストをシェイプさせていて、それ以外はメンズライクに仕立てています。
シフォンで、フェミニンな柔らかさと、シルエットでメンズのクールさを同時に表現できたらと思います」。
自分にとって、卒展はどのような意味があるかたずねると
「自分自身のために思い切り作れる最後の機会だと思います。
卒業後は衣装制作を手掛けていきたいので、クライアントさんありきのお仕事です。
今は、自分の作品を追求していきたいです」とコメント。
<落合さん「riiiiisa」>
「コレクション全体では『気分の移り変わり』を表現しています。
左は、下向きのやや暗く重い雰囲気で、タイトなシルエットが多いです。
右に向かうにつれて上向きな気持ちになっていくため、肌が見えたり、広がりのあるスカートだったり、
開放的になっていく様子をデザインに落とし込みました」と、落合さん。
ブランドコンセプトは「気分転換」、シーズンテーマは「顔を空に上げる」としました。
特に気に入っているのは、グラデーションデニムで作ったジャケットパンツ。
落合さん「前から見るとスカートですが、後ろはパンツになっています。
デニムは自分で色を落としてグラデーションにしました」とこだわりを教えてくれました。
「最後なので、自分ができることを悔いのないようにやりたと思います」と話します。
トワルチェックを終えた柵木講師は
「洋服がまったく作れなかった1年生から指導しているので、どのメンバーも頑張っているなと感じます。
あとは、形はできているものの裾の処理、ファスナーやベルトがついていないなど、80%のところで止まっているメンバーもいます。
アウトラインは分かっているので、デティールにもこだわれるようになるといいです。
とはいえ、入学時と比較すると、とても成長を感じます」とコメント。
それぞれが、自身のブランドを形作っている最中。
目指す表現を余すことなくできるよう、残された時間でクリエイションの質を高めていってください!