ヘアメイク・イガリシノブさん講演会レポート♡WHOMEEプロデュースに至った想いや、コスメブランドを持ちたい学生へのアドバイスまでを本音で語る!【バンタンデザイン研究所】
今回のゲストは、バンタンデザイン研究所のスターOG!
BEAUTRIUM所属・ヘアメイク・イガリシノブさんをお迎えしました!
トークショーはライブで、東京校、名古屋校、大阪校に配信されました。その様子をレポートします。
「ヘアメイクを日々やっているイガリです。ヘアメイクになって17~18年です。皆さんの倍以上の年ですけど、
ヘアメイク以外も色んな道を作りたいと思って活動しています」スタッフによる質問形式で進行していきます!
―― さっそくですが、ヘアメイクになりたいと思ったキッカケは?
「私が高校生のときって、携帯にはカメラもついてなくて。世の中のファッションショーはTVの『ファッション通信』か、
渋谷のPARCOで洋書を買うくらいでした。高校生のときからファッションが好きだったんですが、バンタンデザイン研究所が体験学習を開いていて、
ヘアメイク科のセミナーに行ったんです。そこで『ファッションショーはメイクも重要だな!』と気づきました。メイク科の先輩方もすごく楽しそうで。
当時はメイクさんになりたいというよりも、親元を出てバンタンデザイン研究所に入りたい気持ちも強かったです(笑)
ヘアメイクって、美容師さん?みたいな時代でしたけど。日本ではヘアセットもメイクも両方できたほうがいいので、両方をすることにしました」
――― 今も、ファッション科とヘアメイク科で迷う子が多いです。卒業後はどうしていましたか?
「24歳からアシスタントにつきました。4年くらいはロンドンに行ったりバックパッカーしたり、アルバイトをしていました」
――― 海外でバックパッカー経験って、どのようなものでしたか?
「当時、バンタンデザイン研究所にはロンドンでの研修プログラムがあったんです。
みんなの研修と同じ時期に合わせて飛行機のチケットを取って、最初の1週間くらいはクラスメイトの部屋に居候させてもらったのですが、
その後は1年半くらいいましたね。現地のヘアメイク学校のモデルをしたり、日本のデザイナーさんの縫い子のバイトをしたり。
パリコレに出る作品を先に借りて作品撮りさせてもらったり!モデルさんも裸透け透けのスタイルで
『これこれ、こういうのがやりたかったんだよ、最高~!』という感じでした。
当時パリコレを見に行かせてもらったんですが、チケットをもらえたのも人の縁。とにかく行動あるのみです!」
――― 留学したくてもお金がない……、と迷う学生も多いです。
「行くのを迷って2~3年過ごすと、例えばいい彼、いい彼女ができたりして状況が変わります。次に進むときは何か捨てないといけない。
当然タイミングもあるけど個人的には、絶対に行ったほうがいいと思う。迷っている人は行ってください。
英語は生活しているうちに覚えるから大丈夫!」
――― 独立した後は?
「女子を可愛くする方法を確立していきました。20代のとき、広告も女優さんも雑誌も幅広く色んなジャンルのお仕事をしていました。
今はコスメのプロデュースがありますし。仕事で、スチールとムービーどちらが多いかというとトントンくらいかな。時代が変わりましたね。
最近では、JINSさんがお声をかけてくれて、メガネ本来の機能目的だけにとらわれず、顔や目の形、骨格を3Dで意識して、
メイクするように楽しめる『メーキャップメガネ』のプロデュースもしました。顔の形とか骨格を考えるのが大好きなので、楽しかったです。
おかげさまで、1週間ほどでメガネは売り切れてしまったみたい。雑誌は2誌で連載しています」
また、雑誌には「ラフ画」と呼ばれる下書きがあり「メイクがページにどう掲載されるのか、どのくらいの大きさで、どう色が出て、どう見えるか」までを緻密に計算すると話します。
――― すごい。編集者みたいですね!(驚)
「そこまで考えないと、雑誌性もあるし、紙の質によっても見え方が違うんです。ヘアメイクがその雑誌でどのように見えるか、
トータルのバランスはすごく考えます」
――― 自分のブランドを持ちたいという子が増えています。WHOMEEプロデュースのキッカケは?
「『おフェロメイク』が認知されたり、化粧品が『イガリ売れ』したりしたからこそだなと感じます。とても喜ばしいことで、
本を出したので仕事量は増えたけれど、本当はこのアイテムを使いたいのに、企画によっては決められたアイテムがあるのは当然で、
自分的にブレてるな~と感じることもありました。そこで、世の中の人が信じて買ってくれる『ひとつの軸』を作ろうという想いでした。
ヘアメイクでキャリアを積むとスクールを運営する方が多いけれど、私がしたいのはアイテムだなと。
あと、うちの家庭環境もあって、ヘアメイクって、朝4時入り、5時入りとか普通にあるので、一人で子どもを育てるとこのままでは鍵っ子
になってしまうと思って。撮影以外に『お金が回る方法はないかな?』と。そのアイデアのドッキングで化粧品ブランドをしようと思いました。
自分から8社くらいメーカーに電話しましたよ。既に、『フーミ―』という名前は決めていましたね。そこで、今の会社に繋がり、
20アイテムを作ることになったんですが、20アイテムとなると自分に投資してもらう多額の費用がかかります。
その人に可能性があるかどうかがとても重要。投資してもらうためには、自己プロデュースはもちろん、売れた先にどうしていくか、
そこまでプロデュースしないといけない。なので、ブランドをやりたいなら、まずはヘアメイクを頑張れという感じです。
YouTuberも化粧品を作れるので、野望は必要だと思います。コスメを作ることに携わりたいなら化粧品会社に就職するのもいいと思います」
――― WHOMEE とBABYMEEがありますが、それぞれの特徴は?
「WHOMEEは平均1800円くらいで、『バイト2時間分』と言っています。WHOMEEはドラッグストアに並べるには少し高いんです。
ただ、四国などの一部地域にはバラエティストアがないところもあるので、WHOMEEを始めた時点で『ドラッグストアは、どうする?』
というテーマはありました。なので姉妹ブランドのBABYMEEをスタートしました。当時、リップがものすごく売れていたんですが、
みんなのポーチには10本以上リップが入っていて、リップはいるのかな?と思っていて。なので『目もの』(※アイメイク)をメインで
展開することにしました」
――― コスメブランドをプロデュースしたい学生が、在学中にやっておくべきことは?
「私はコスメオタクではなく、顔の造形オタクなんですよ。コスメブランドを立ち上げるにあたって、いちばん弱かったのは成分について
詳しく知らなかったこと。もうちょっとツヤが欲しい、とかテカテカにとか質感のイメージしか言えなかったんです。
若いときに勉強しておくといいですよ。例えば、リップを開発中、ずっと『このラメがイメージと違う』と言っていたけれど、なかなか改善されなくて。
研究者の方に伝わっていないからと直談判しに行ったんです。すると『ヘアメイクさんはラメっていうけれど、これはパールです』と
言われたことがありました(笑)なので、言葉はいっぱい学んでください!ツヤでもどういうツヤなのか?表現できるように。匂いもそうです。
アレルギーがある人もいるから、匂いや香りも勉強しておくと良いですよ」
<学生たちからの質問!>
――― ヘアメイクの仕事で、壁にぶつかったことは?どう乗り越えましたか?
「壁にぶつからないで、上手くやっている人はいないです。どんなモデルさんとお仕事するにも、初日はあります。
なので、初日は緊張します。そこから時間を重ねていろいろ話せるようになりますが、初日もひとつの壁。
前の仕事から1時間しか寝られなくて、次の現場に行くときも、辛さは見せられないのでそれも壁。どう乗り越えるかというと、
一つひとつ真剣にやるしかないと思います。あとは友だちです。クラスのコに話したり、何かオーダーされて分かんないとき、
『どうやって作る?』と聞いたりします。友だちはすごく助けてくれるので大切にして。
今、ヘアメイク科で学んで、一緒の職業を目指しているクラスメイトがいるのはすごくラッキーですよ。一人で悩んでいると鬱になるかも
しれないけれど、支え合えるから。人付き合いは重要です。ムスッとしないこと!あと、芸能人のことは聞かれても言わないで。
仕事で教えてもらった情報は口外しないこと。守ってね」
――― ヘアメイク志望なんですが、肌が弱いです。どんな基準で化粧品を選べばいいですか?
「私も弱いです。それは自分のオリジナリティだと思います。肌が弱いなりに使えるものがあるよ。なので、無理する必要はないと思います」
――― アイモデルで、肌が荒れちゃいます……。
「私も、めっちゃ荒れてたよ~!安いアイテムで荒れちゃうことが多いかも。スキンケアはすごく重要。肌が弱いコに化粧水をつけると
荒れちゃう場合もあるので、乳液から基礎化粧を始める場合もあります。特に香料は肌が荒れやすいので気を付けて」
――― アシスタントにつく際に、重要なことは?
「アシスタントのうちに、一杯失敗しておいて。暗い子、声が小さい子はいらないです。気が利くコ、動けるコがいい。
以前、厚めの靴を履いてアシスタントに来た子がいたんですが、『その靴、どうにかならないのかな?』と思っていたんです。
案の定、その子が階段から落ちてきて、カチンときたことがありました。その靴は良かったのか?ちゃんと考えてほしいです。
例えば、モデルさんとの会話で『最近、何か美味しいもの食べた?』とか聞かれることもあるので、こっちにネタがないと話にならない。
『私は関係ない、興味ない』スタンスは取らない方がいいです!興味や知識の幅があるほうが魅力的な人になれるはずだから、
どんなジャンルも知っておくべきだと思います。
あとは、アシスタントって、保険あるの?退職金あるの?とか、ヘアメイクという仕事が分からない親御さんもいると思います。
でも、それを理由に諦めるのは勿体ないです。アシスタントで辞めちゃう子はすごく多いけれど是非乗り越えて。
心配してくれた親御さんを安心させてあげられる日が来ますように!」
――― 学生にメッセージをお願いします!
「今はコロナ禍で大変だけれど、大変だという条件は全員一緒。大変な中でどれくらいのことができるか。
寝てても仕事はもらえないので、人と出会わないと。バイトは、できればヘアメイク関連を選ぶといいよ。
私も、ヘアセットのバイトをしていました。その時の同期に仕事を渡したりもらったりすることがいっぱいありました。
土日もブライダルのバイトをして、和髪を習得したり。人と繋がれる場所を見つけられれば、ヘアメイク目指しているの?じゃあやってよとか、
出会いとキッカケで仕事をもらうこともあるから。
やれることは全部やっておいたほうがいいと思います。バンタンデザイン研究所は、アシスタントに公欠で行かせてくれるじゃないですか?
なので、アシスタントの先の目標を早く掴める子になってほしいです。私が20代の頃は、寝るよりも遊んでました。
仕事して遊んで、そしてそのときに出会った人の縁から繋がっていって、今WHOMEEを作ってくださっているメーカーさんに出会いました。
何が起きるか分からないです。友だちを大切にして。自分の道を進んでください!」と、温かいメッセージ。
イガリさんが、繰り返していたのが「とにかく行動して。行動しないと始まらない」。
たくさんのことを成し遂げて、活躍している先輩の言葉には説得力がありますね!
今回うかがったことを、これからの自分に活かしていって。