業界関係者が来場!AFC 8thグランプリデザイナー&X-SEEDメンバーによる合同展示会をレポート【 バンタンデザイン研究所 】
「オーダーシート、お使いになりますか?」
「ゆっくり見ていってください」と、来場者に声を掛ける学生デザイナーたち。
ここは、代官山 CULT CLUB STUDIO。2021年3月21日~23日まで、バンタンデザイン研究所&X-SEED 在校生、
卒業生による合同展示会が行われました。AFC 8th東京代表デザイナーや、特別進級クラス・X-SEED在籍メンバーなど、注目のブランドが出展しました。
<そもそも、展示会って?>
ブランドが、シーズンごとのコレクションを展示し、売り込みを行う場のこと。ブランド側は、ブランドに興味を持ってもらい、
顧客に商品をオーダーしてもらうことが目的です。
ファッション業界のプレス、バイヤーが訪れ、新作の仕入れ・選定、新ブランドの発掘やデザイナーへのデザイン依頼のキッカケの場となることも。
さっそく、各ブースをチェックしていきましょう。
<aNANA tih sayim(アナナ・ティ・シャイム)(@ ananatihsayim)>
Asia Fashion Collection 7th にてグランプリを受賞したaNANA tih sayim(アナナ・ティ・シャイム)。
デザイナーは、X-SEED宮下奈々さん。2020年2月、日本人最年少で New York Fashion Week にてランウェイデビューを飾りました。
「おかげさまで、リースの依頼などが増えて、芸能人や女優さんに着ていただく機会が増えました。舞台挨拶で登壇するときに着用されるなど、
どちらかというと晴れ着で着られることが多いと気付き、デイリーに着られるよう、コレクションはリアルクローズに寄せています」
―――― 合同展示会は初めて?
「そうですね。それぞれのブランドごとにゲストを招待していて、新しいお客さまや友だちと繋がれるのが魅力です」
―――― X-SEEDに在籍して良かったことは?
「ブランド運営において、分からないことはプロの講師がなんでも教えてくれました。
あとは、バンタンデザイン研究所校舎にaNANA tih sayimのコレクションを1ラック分保管しておいてもらっているんです(笑)リース依頼がきたら、
そこから発送できたりして有難かったです。卒業したら、自分でアトリエを構えないといけないなと思っています」
―――― 今後、どのようなブランドにしていきたい?
「WALLなど、感度の高いセレクトショップに置いてもらえるようになりたいですね。あとは、接客が苦手なので頑張りたい(笑)デザイナーでも、こうして展示会でお話したり、商談することもあります。接客スキルは大事だと思うので、磨いていきたいです」
<kaoism(e) (カオイズム)(@kaoism_e)>
Asia Fashion Collection 8th ではグランプリを受賞し、先日デジタルで実施されたニューヨーク・ファッション・ウィークにてランウェイデビューを果たした、
kaoism(e) (カオイズム)(@kaoism_e)デザイナー・バンタンデザイン研究所 東京校 冨山 華緒さん。
―――― 特別進級クラス・X-SEEDへの進学を決めたのは?
「自分のブランドを展開するうえで、必要なこと、活かせることを学びたいと思いました」
―――― 先日行われたSTUDENT FINAL 2020(卒展)でもショーをされていましたね。
「お世話になったモデルさんなどが全員集合して、とても嬉しい時間でした。長時間の拘束にも関わらず、kaoism(e)の服を気に入ってくださったり、
前向きな言葉をかけてくれて、手応えが良かったです」
―――― 展示会の手応えは?
「自分が売れると思っていたものが意外と売れなかったりします。例えば、このコラージュ柄のトップスはもっと伸びるかと思いましたが、
そこまでではありませんでした。売れ筋はPVCバッグと、スウェットパーカーでデイリーに着やすいアイテムが多いです。
これからは、もっとたくさんのお客さまに着てもらえるブランドにしていきたいです」
<YONLOKSAN(ヨンロクサン)(@yonloksan)>
「自分のコレクションに、値段をつけるということがなんだかおこがましいような、気恥ずかしいような気持ちです」と、控えめに語るのは、
YONLOKSAN(ヨンロクサン)(@yonloksan)デザイナーの新國あおいさん。謙遜しながらも、タグやオーダーシートなどを用意し、
ブランドとしての「見え方」にもしっかりとこだわりました。
「価格付けは、生産管理をしている知り合いに相談し、原価と工賃から算出しています」
―――― 他のブランドのコレクションを見た感想は?
「i.d_a_nty(アイデンティ)が凄いよ、と聞いていたので実物を見られて嬉しいです。ショーで会っていても、服をゆっくり見る時間がないので」
―――― 展示会に出て、得られた学びは?
「お客さまが購入してくれるものが、こちらと想定しているものと違うこと。例えば、このシャツは急遽作ったルックだったので、
そもそも展示会に出すつもりもありませんでしたがオーダーが入り驚いています。
また、今回の展示会での需要を見てブランドを継続するかを判断したいです」と、冷静に語ります。
<WoDa HiBiKi(ウォダ ヒビキ)(@woda4771hibiki)>
「2022年のAFC 9thに参加するつもり。グランプリを狙います」と話すのは、学内イベント「VANTAN CUTTING EDGE 2020」にて、
2位に輝いたWoDa HiBiKi(ウォダ ヒビキ)(@woda4771hibiki)デザイナー・バンタンデザイン研究所高等部ファッション科3年石川響さん。
「ブランドターゲットは、10代第から20代後半の方です。4月からX-SEEDに進学するので、ひとつのブランドとして認知されるように展開していきたい」
と抱負を語ります。
―――― 今後、製品化をしていくうえで、重視することは?
「自分が服を購入する際に重視することを、ブランドにも落とし込んでいきたい。まずはデザイン性と素材。価格は製品のオリジナリティと見合うかどうか。
EC運用などはこれからですが、コンセプトをしっかり定めてからヴィジュアルにも落とし込んでいきたいです」
「恋愛の依存心」がテーマで、彼女に貢いだレシートからデザインした「貢ぎすぎマフラー」など、独自の視点を感じさせるコレクションに。
<i.d_a_nty(アイデンティ)(@i.d_a_nty)>
i.d_a_nty(アイデンティ)(@i.d_a_nty)デザイナー坂上真那美さんは、「コンセプトは『update accessories』で、
アクセサリー感覚で着られる服をデザインしています。手持ちのファストファッションの洋服に重ね着するだけで高級感が出ます。
身に着けることで新しい自分自身とデートにいくような気持ちになれるように、という想いを込めています」とブランドの背景を説明。
―――― 人気のアイテムは?
「服も展開していますが、リーズナブルなこともあり、アクセサリーの人気が高いです。
意外だったのは、装飾として飾っていた『スプーンリング』にオーダーが入ったこと。
ヴィンテージのスプーンの持ち手を加工してリングにしています。一点ものなので40,000円の価格を付けましたが、完売しました」
―――― 合同展示会に参加した感想は?
「予想していた以上に、たくさんのお客さまにお越しいただきました。自分ひとりの力では、ブランドを認知してもらう機会も限られているので、
スクールがこのようなスペースを借りてくれて、とても有難いです。展示会に参加したことで、他ブランドの現状も見られて自分のブランドに
足りない部分が明確になりました。X-SEEDに進学予定なので、これからますます自分のブランドもアップデートしていきたい」と話します。
他に、HEP FIVE広告でバーチャルモデル・葵プリズムさんが着用したことで話題になった『R.F.D.W.』(@r.f.d.w.official)、
『lodi.』(@lodi.offi)も出展しました。
参加したデザイナーから、多く聞かれたのが「自分が想定していたものと、顧客が求めるアイテムが違う」という事実。
顧客ニーズと、デザイナーとして表現したいクリエイションをいかに融合させていくかが、今後のキーとなりそうです。
各ブランドのこれからにも、期待しています!