aNANA tih sayim、old honey、SAWL……。スタイリスト本科が、OB・OGブランドのLOOK BOOKをディレクション!【バンタンデザイン研究所】
「ポケットに手を突っ込んでみて!それでカメラを見て」と指示するカメラマン。その先にスッと立つのは、aNANA tih sayimのアイテムを
着こなすモデル。デザイナーズメゾン校舎にて、スタイリスト本科(2年)生の第3ターム撮影が行われました!
課題は、卒業生ブランドのLOOK BOOKディレクション。スタイリスト本科生でチームを組み、ひとつのブランドを担当します。
<LOOK BOOKとは?>
ルックブックとは、アパレルメーカーがシーズンごとに制作するカタログのこと。ブランドのシーズンのコンセプトや着こなしを伝える重要な販促ツールです。
<aNANA tih sayim ( アナナ・ティ・シャイム )>
コンセプトは、「ファンタジーを軸に、感情を繊細に纏う“Focus on fantasy, wear the delicately emotion”」。
大人と少女の狭間をさまよいながら背伸びしている女性を全体のテーマに掲げ、女性が少女から大人へ成長する過程の感情を洋服に
落とし込んだブランド。デザイナーである宮下奈々さんは、2020年2月に日本人史上最年少でNew York Fashion Weekにて
ランウェイデビューを飾りました。
「額縁を持ってもらえますか?重くてすみません!」と、モデルさんをケアしつつ、ポージングをディレクションしていく新田さん。
二人のモデルさんが横並びで立つカットから、一人ずつのカットまで多彩な構図で撮ることができました!
新田さん「aNANA tih sayimは、ブランドコンセプトがしっかりしているので、コーデを組みやすくて撮影もしやすかったです。
リースしたのは、シーズンに関係なく10着前後。私は、アイテムを探すよりも、こうして元々あるものを活用してスタイリングを組むほうが得意なので、
楽しく取り組むことができました。デザイナーさんとは面識はありませんが、卒業生のブランドということもあってとても親近感を感じます」
片野さん「撮影で大事にしたのは、ファンタジーの物語を読んでいるような空気感。最終的には紙にプリントアウトするので、ページをめくるごとに
可愛かったり、格好よかったりと異なるテイストを楽しめるようにスタイリングを組みました。僕は、最後に撮影したジャケットのスタイリングを考えました。
個人的にテーラードジャケットが大好きなのですが、aNANA tih sayimのジャケットの色合いも絶妙で好みですね」
。
三上さん「こだわったのは、モデルさん選び。デザイナーの宮下さんは、いつも細いモデルさんを起用していますが、私たちは
『儚げで、少女と女性の間のようなイメージの双子感』にこだわりました。ブランドが手掛けるルックブックとは、また違った魅力を提案できたと思います。
当初、予算の都合で一人にしようかと思っていましたが二人にして良かったです!」と、全員が仕上がりに満足している様子でした。
<old honey(オールドハニー)>
2013年、バンタンデザイン研究所在学中に、デザイナー原まり奈さんが立ち上げたブランド。
「装飾的でありながら甘すぎない。日常に特別を添える服。」をコンセプトに、全て手作業で製作。2015年にはNY Fashion Week
でコレクションを発表しました。ドラマ『ファーストクラス2』への衣装提供、ゆず、superflyなどアーティスト衣装も手掛けています。
1体目は、バックにリボンがあしらわれた上品なワンピース。「ライティングは明るい感じ?言語化してほしいです。
今、モデルさんが自由にポージングしている状況だけれど『こうして欲しい』『ああして欲しい』というのを伝えて、イメージをコントロールしたほうが
いいと思う」と、率直な意見を伝えるカメラマンさん。
学生「ありがとうございます。後ろのリボンがポイントなので、背中を見せて、振り返る瞬間を撮影してほしいです!」
話し合いを重ねていくことで、撮りたいもののイメージがより明確になっていきます。立ち姿を撮影した後は、同じコーディネートのまま
シチュエーションをチェンジ。テーブルの上に、食パンとハチミツを並べて……モデルさんがハチミツパンを食べている様子を撮影。
学生「イメージは、日常の一コマです。食パンにハチミツを垂らしてください!」と、ポージングの指示を出します。
指導するスタイリスト奥村嘉之講師は「思いっきりパンにかじりついてもらって、唇にベチャッとハチミツがついているくらいが面白いのかもしれないね。
そういう画が、ひとつあってもいいと思う」と意見を伝えます。
<SAWL(サウル)>
他にも、森大周さんが手掛ける「SAWL(サウル)」のLOOK BOOKを制作したチームもありました。「SAWAL」は
「DIVERSITY WEAR-多様性のある服-」をコンセプトに掲げたメンズブランド。
須藤さん「ブランドのLOOK BOOKなので、そのブランドらしさが表現できるように意識しました。今回は10着ほどリースさせていただき、
モデルさんはSNSで声をかけて選びました。年が少し上の先輩なので直接知っている訳ではありませんが、プロジェクトを通じて新しいブランドを
知れるのも楽しいです」と話します。
ゴスペラーズフェスなどの衣装を担当する・スタイリスト奥村講師は
「チェックしているのは、全体のバランス。ブランドのアイテムの中で何と何を合わせて、いかに面白く提案できているかは見ています。
ただし、スタイリング単体では限界があると思います。だからこそ、シチュエーション、光、プロップなどを総合的に使い、世界観を作ることが大切。
ブランドの魅力をバランス良く見せていくことが求められています」と評価の軸を教えてくれました。
在学中から、こうした実践的な撮影を経験することで、スタイリストとしてのスキルが養われますね!