8ブランドからニューヨーク・ファッション・ウィークに参加する3ブランドを選考。緊張感溢れるAsia Fashion Collection 8thプレゼンテーション審査をレポート!【バンタンデザイン研究所】
今年で第8回目となるAsia Fashion Collection(アジアファッションコレクション、以下AFC)が開催。
今回は、最終プレゼンテーション審査の様子をレポートします。
<AFCとは?>
バンタンとパルコが主催する、アジアの若手デザイナーを発掘・起業支援を目的とするプロジェクト。
2次審査を経て、最終選考に残ったのは計8ブランド。
これから行われるプレゼンテーション審査と、翌日行われるランウェイ審査を経て日本代表3ブランドが選出されます。
選ばれた3ブランドは、2021年2月に開催されるニューヨーク・ファッション・ウィークにてランウェイデビューを果たします!
<審査員は、ファッション業界のプロフェッショナルたち>
プレゼンテーション審査は、バンタンデザイン研究所デザイナーズメゾン校舎にて実施しました。
審査員として、株式会社ビームス 第1事業本部 BEAMS1部 ウィメンズ課 統括ディレクター久保田 雅也様、
株式会社 三越伊勢丹 伊勢丹新宿店 MD 統括部 クロスMD 営業部マーチャンダイザー 関根 千紘様、
株式会社 TOKYO BASE STUDIOUS BRAND DIRECTOR/BUYER中根 大樹様、
株式会社レコオーランド FASHIONSNAP.COM 編集委員/ディレクター芳之内 史也様、
株式会社WACK 代表取締役/NEGLECT ADULT PATiENTS クリエイティブディレクター渡辺 淳之介様、
そして審査員長・WWD JAPAN.com 編集長 村上要様にお越しいただきました。
デザイナーたちの強い想いが感じられるプレゼンテーションをお届けします。
- kaoism(e)(カオイズム)
冨山 華緒(トミヤマ カオ)さん/バンタンデザイン研究所 東京校/instagram@kaoism_e
「コンセプトは『シーンの開放』です。
学校に行く時は制服を、会社に行くときはスーツを着ると思いますが、そういう概念を壊したいと思っています。
私自身、高校生の時に私服で集まる時に、学校から『常識の範囲内の服装で』と言われていました。
その範囲も分かるし、縛られている部分も分かる気がしましたが、縛られている人を開放したいです。
シーズンテーマは『ご近所ドレス』。
近所に行く時にドレスアップする人はいないと思いますが、身支度をしてドレスアップすることで気持ちも華やぐはず。
その感覚を、服に落とし込みました。」
ポストに手紙を投函する時のドレス、スーパーに行く時のドレス、フランスパンを買いに行く時のドレス、
また、ハーゲンダッツを買いに行く時の華やかなトレンチコートもお披露目。
- im(イム)
田中 もえ(タナカ モエ)さん/バンタンデザイン研究所 東京校/instagram @im.2861
「『すべてうまくいく。人間どうせ明日死ぬのかもしれないのだから自由に好きなことをして好きな服を着て楽しく過ごしたい。
着る人を楽しくポジティブな気持ちにさせたい』をコンセプトに、新しい人物像を提案します。
最近『黒人差別』が社会問題になっています。
グローバリゼーションが進み、性別や人種による差別がなくなることを願って、自由で情のある人物像を若い世代に提案していきます。」
使ったのは「デニム」。ブリーチしたデニム、濃淡のあるデニムを自由に掛け合わせることで様々なスキンカラーを想起させるコレクションに。
「不良少年少女」が着る特攻服に英語の詩を刺繍として加えるなど、アクセントにも個性が感じられました。
3.HLNbyHarunoTamura Haruno Tamura(エイチエルエヌバイハルノタムラ)
田村 春乃(タムラ ハルノ)さん/大阪文化服装学院/instagram @hln_official_
「『be free, be yourself(自由に自分らしく素直になれる)』が、ブランドコンセプトです。
シーズンテーマは『OFFCIAL(オフシャル)』という新しいコンセプトです。
オフィシャルな場でもオフのように自分らしくいても良いのでは?というところから発想しました。」
オフである「パジャマ」×オフィシャルである「ウェディング」に、「グラフィティ」という要素を組み合わせてデザインしたとのこと。
カート・コバーン&コートニー・ラヴの結婚式をイメージソースとし、グラフィティのインクの垂れまでをアウトライン化。
シルクスクリーンを使って忠実に表現されています。
4.HARUKI SHIMAMURA(ハルキ シマムラ)
島村 明樹(シマムラ ハルキ)さん/me/instagram @harukishimamura
「コンセプトは『装うことでコミュニケーションを生み出すワードローブ』です。
『それ、どこで買ったの?』と聞かれるような、服を通じてコミュニケーションが生まれるモノづくりを心がけています。
具体的な着想源は『自分が共感する男性らしさ』です。
自分には、強気な面もあれば、目立ちたがり屋で承認欲求が強い側面もあります。
同時に男性が履かないプリーツスカートを履きたいと思うなど、様々な感情が流動的に共存し変化しています。
情緒が多様な状態こそ、私の共感する男性像です。」
「様々な感情が流動的に共存する」男性が装うワードローブを提案するため、多様なコレクションを提案。
前空きで実用的なロングワンピースや、ポケットをつけたプリーツパンツなど繊細さとマスキュリニティとが共存するアイテムが光ります。
5.yuumi ueda(ユウミ ウエダ)
上田 優実(ウエダ ユウミ)さん/大阪文化服装学院/instagram @yuumiueda
「ファッションは突然訪れた非日常に大きな影響を受けています。
でも、ファッションは世の中に影響を与える強い力があると考えています。
yuumi uedaを着ることで、強く生きる女性たちに『"No substitute for me"(私の代わりは存在しない)』と感じてほしい。
強く生きる女性は『東京ラブストーリー』の女性をイメージしました。」
肩の張ったシルエットに、タイトなボトムなどシルエットにもメリハリが。
「東京をまとう」をテーマにし、今シーズンのためにフォトグラファーに写真を取り落としてもらったそう。
写真にカラーを重ねナイロン地にプリントし、オリジナルテキスタイルに昇華させています。
6.YONLOKSAN(ヨンロクサン)
新國 あおい(ニイクニ アオイ)さん/バンタンデザイン研究所 大阪校/instagram @yonloksan
「コンセプトは『『PLUS WIT ウィットに富んだ、少し楽しいものを』です。皆が同じではつまらない、少しズレてるくらいが面白いと思っています。
ターゲットは、フリルやリボンは可愛すぎると思っている女性です。いずれは、セレクトショップにおいてもらえるようなドメスティックブランドになりたい。」
大地と空の交わりを表現したジャケット、二次関数のグラフを表しているパンツなど唯一無二のコレクションを披露。
7.BASICAL DIAMENTS COLOUR(ベーシカルダイアメントカラー)
小口 大輔 (オグチ ダイスケ)/東京モード学園[卒業]/instagram @basicaldiamentscolourbdc
「服が売れない時代にこれからのファッションブランドはどうするべきか。新しいモノを生み出すにはどうするべきか。
という2つの課題に対して、実験的でチャレンジ精神のある活動をしていきたいです。
コンセプトに『ベーシックカラーとのコミュニケーション』を掲げています。
社会的に形成された自分ではなく、本来の自分、内なる自分を見つけてほしいと思っています。」
目指すのは、D2Cの既製服でありながらオーダー感覚が得られる服だそう。
ジェンダーレスなブランドとして、体型によって着こなしを変えられる仕様になっていました。
8.mika sasaki(ミカ ササキ)
佐々木 ミカ(ササキ ミカ)/大阪文化服装学院/instagram@mika_sasaki_
「『自然からインスピレーションを受けた、オリジナルマテリアルを使用したデザイン提案をし、
切る人の素直な感情を引き出すこと』を目的にしています。」
体の深部に色をつけるアートからインスピレーションを受けた今シーズン。
『ジャンヌ・ダルク』をミューズとし、コレクションカラーにネオグリーンを採用したそう。
14世紀の日常着からディティールを取り入れられています。
日本ブランドに続き、台湾代表ブランド、韓国代表ブランドもオンラインプレゼンテーションを行いました。
台湾代表ブランド
Syzygy(スィズィジィ)を手掛けるのは、Yu Wei Lee(リ ユーウェイ)さんとYuan Lung Kao(ガァォ ユァンローン)さん。
月の満ち欠け、と3つの星が一直線に並ぶことを意味するSyzygy(スィズィジィ)。
「多様な可能性のある一枚の服」をテーマに、マルチスタイルが楽しめるコレクションを発表しました。
韓国代表ブランド
continued_studio(コンティニュード スタジオ)デザイナーNewman Han(ハン ニューマン)さん。
2020年のK-fashion Audition2020にてTOP24、2014年Audi Star Creationなど数々の受賞歴を持つ気鋭のデザイナー。
ユニセックスブランドで、異質な素材をミックスさせるのが特徴です。
オーバーサイズなシルエットで「道着」のようなルックも印象的。
すべてのプレゼンテーションを終えて、審査員を代表して株式会社パルコ 執行役員 溝口 岳様よりメッセージをいただきました。
「皆様にとって、明日のランウェイプレゼンテーションが意味のある時間になれば嬉しいです。
今年は、とても悩みましたが、皆さんと共にリアルな場を作ることにこだわりました。
そこで生まれるエネルギーを皆さんと共有したいです。
そのエネルギーを持って、どのようにN.Yにチャレンジしていくかを一緒に考えていきましょう。
明日もベストフパフォーマンスを発揮できるよう楽しんでください!」
ランウェイ審査は、数多くのメディアが取材に訪れる華やかなステージです。
ニューヨーク・ファッション・ウィークへのチャンスを得るのは、果たしてどのブランドになのか?ランウェイレポートも、どうぞお楽しみに!