人気セレクトショップ「THE FOUR-EYED」オーナー藤田佳祐氏をお招きして学生との対話型トークショー開催!【バンタンデザイン研究所】
今回はトークショーゲストに、ファッション学部の中川講師の友人であり、
圧倒的な存在感を放つセレクトショップ「THE FOUR-EYED」(https://www.thefoureyed.shop/)
オーナー藤田佳祐様をお招きしました!
「藤田君とはメンズスナップ誌で仕事をしていました。同い年ということもあって昔から親交があります。」と話す中川講師。
藤田さん「お忙しい中お集まりくださり本当にありがとうございます。トークショーですが、カジュアルにお答えしていこうと思っています!」
早速SNSで募った質問にお答えいただきます。
Q.撮影するときに重きをおいているポイントは?
藤田さん「ブランドのイメージを可視化していきたいので、クライアントがどこを重視するかをポイントとしています。
僕はもともと写真家になりたかった訳ではなく、ファッションの延長として写真を捉えています。なのでファッションフォトしか撮っていません。」
Q.スナップではどういうコを撮りたいと思いますか?
藤田さん「その人のファッションに対して感動するかどうか。素敵なものを見たときに写メしたい気持ちと全く同じです。
スナップはドキュメンタリーだと思っているので、仕込むことも全くやってきませんでした。作り込んだファンタジーよりかは偶然撮れた一枚のほうが好きですね。」
「ストリートファッションって進化論みたいなところがあると思っていて。
1950年代にジェームス・ディーンがワークウェアだったデニムをカジュアルウェアとして着たんです。そこからジャンルが細かく分かれていって。
そんな風に進化しているものの最先端を切り取る作業がスナップだなと思っています。」
Q.ハンネ・ギャビー様の作品はいつ公開されますか?
藤田さん「彼女はキャリアもすごいし私服もよく、惹かれるところが盛りだくさん。
この方を撮影すると完全に持っていかれて、『撮らされている』感覚になります。作品はインスタグラムに上がってます!
(https://www.instagram.com/perverze_official/)」
また、ZINEを自主制作しているという在校生・鈴木さんは、
「抽象的ですが感情をテーマに写真を撮りたいです」と相談。
藤田さん「ZINEのことを、英語や他の国の言語で調べてみたら?アイデアソースがいっぱい落ちていると思うよ。情報をタコツボ化させないで。
あといちばん重要なのは行動すること。原体験になるような、影響を与えてくれる人を知るのも大事です。」
Q.どんなスキルがあれば、アパレル業界で仕事をもらえますか?
藤田さん「仕事をもらえますか?という質問に、『仕事をもらう』という精神性が表れていますが、仕事は作るものです。
守られた立場を提供してもらって、対価がもらえるのは当たり前に思えますが、これからはそこを根本から疑ったほうがいい時代になっていきます。
人に頼まなくてもAIで済む時代に、『もらえますか』スタンスでは厳しいです。『仕事を作る』という意識にスイッチしていって。」
Q.どうしてお店をはじめようと思いましたか?
藤田さん「色々なアルバイトをして、いちばん続いたのが服屋さんでした。
前職は大阪のお店で8年働いていました。店舗が増えて自分の一存では舵を切れなくなり、一人ボートをこぎ出した感じです。
上京したのは2011年の3月。オープンまで5年かかりました。
お店をやろうと思っていたからフォトグラファーをやっていました。最初からそこは変わっていません。」
Q.何故、歌舞伎町を選びましたか?
藤田さん「街として認知度が高く、『歌舞伎町、服屋』で検索するとウチしかヒットしない好条件が良かったです。
たくさんの人に服を提供するようなマーケティングであれば歌舞伎町は選ばなかったでしょうが、
僕の好きなファッションは山手線の一車両のうち一人が好きといってくれたらいいので。」
Q.古着屋をしたいのですが、今の仕事が手離せないです。
藤田さん「手離せないくらいでしか、やりたい気持ちがないんじゃないかな。Wワークしてもいいと思います。
僕も仕事は大変だとは思うけれど辛いことはない。辛いなら好きじゃないのかも。」
Q.古着屋の具体的な仕事を教えてください。
「僕は社長であり、事業主です。なので、掃除や接客、舵を切ることから全部やります。
ただ、ちょっとずつ託して、他の人に仕事を振り分けるようにしています。」
中川講師「接客の感じ、独特ですよね。」
藤田さん「お店を始めた理由を端的に話すと……
色んなアパレルの方と話して『いい人材がいない』、『昔はもっとオシャレな人いたのに』っていう声が多かったんです。
オシャレなコもいい人材がいないのも、全部身から出た錆だと感じていて。
掘り下げると、昔は割と自分で服を選ぶ文化が強かったと思うんです。
接客やサービスが進化しすぎると、求めている『それ』に達しない。
いいサービスが、いいファッション文化を醸成するとは限らない。
なので、あえて丁寧にスタイリングしないようにしています。
服を売るのではなくファッションの文化度を高める仕事をしていると僕は思っています。」
Q.2号店は考えていますか?
藤田さん「一切考えていません。」
Q.スタッフを雇う際の条件は?
藤田さん「求人は常に募集しています。イラストレーターでも美容師さんでもいい。
人を雇うということは、ベーシックインカムを提供することだと思っています。
それを与えてあげるから、それに対してアナタは何ができるの?って、
会社に役に立つであろう活動をしてもらえることが第一義ですね。
それが巡り巡り価値になると思っています。」
Q.アパレル業で働くうえでいちばん大切なことは?
藤田さん「自己投資ですね。外見のエキスパートな職種なので。服を買わない人が服の仕事してもなんの説得力もないですから。」
Q.ショップ経営のノウハウはどこで学びましたか?
藤田さん「学校にくる意味は、隣のコを無条件でお客さんに変えられること。
かつ自分が何を知らないかを知れることだと思います。」
在校生・若林さんは「自分のやりたいことが複数ある場合どう選択肢を選びますか」と相談。
藤田さん「純粋にやりたいことの内容で迷っているというよりは、キャリアとしてどっちが成功するかという興味じゃないかな?
あるメンタリストの方が、自分の欲しいものを見つける手段は、『いちばん嫉妬するもの』だと言っていました。
成功した他者を見て、何にいちばん嫉妬するかを見極めてみては。
いちばん求めていることが分かったら、そこだけを集中して求めてやればいいと思う。
そこに正直でないと幸運の女神にも微笑まれませんよ。」
とアドバイス。
Q. THE FOUR-EYEDで扱われるブランドになるには?
藤田さん「扱いたいと思わせてください。ブランドとしてロールモデルになると思わせてください。」
この他にも、学生からのたくさんの質問ひとつひとつに、藤田さん独自の回答を返してくださりました。
最後に藤田さんは、
「少しはタメになったら嬉しいです。人を介して自分を知ることもあります。
僕自身も、中川君があって今ここにいます。月並みな言葉ですが、人との繋がりは大事にしてください。」
と締めくくりました。
自由に質問していた学生たちですが、藤田さんの方からも学生たちに対して、
「これから、どんな価値を提供できる?」と暗に問われているかのような、そんな双方向の講演会となりました。
藤田さん、本日はありがとうございました!